NTTコムウェア株式会社

Deeptector®

電柱上のカラスの巣を突き止める 画像認識技術を活用した営巣巡視業務支援「Deeptector®営巣検知サービス」

(2022年1月号掲載)

NTTコムウェアは、画像認識AIDeeptector®(ディープテクター)」(以下、「Deeptector」)を活用し設備点検業務の自動化・効率化を支えるサービスとして「Deeptector〈営巣検知サービス〉」(以下、「営巣検知サービス」)を提供しています。電柱上の営巣の検知に活用されており、電力会社を中心に高い評価を頂いています。
営巣:カラスなど動物が巣を作ること

電力会社を悩ます「カラスの巣」の撤去作業とAIによる解決の試み

電力会社では電力の安定供給のため、予防保全を目的とした設備点検業務を日々実施しています。特に春先に増加するカラスの巣は、高圧線に接触した場合停電を引き起こす可能性があるため、巣の早期発見および撤去が求められます。そのためには定期的な巡視が必要となりますが、カラスの巣は撤去した後も繰り返し作られるため、その巡視業務に多くの労力を要することが課題となっています。

2018年より、NTTコムウェアと四国電力送配電株式会社(以下 四国電力送配電)は、「Deeptector」を使った営巣の自動検知・判定技術の実証実験を行ってきました。その結果を踏まえ、NTTコムウェアは、AI技術によるリアルタイム検知を可能とする営巣自動検知・判定システムを開発し、四国電力送配電は、20213月に本システムを導入しました。NTTコムウェアはこの営巣自動検知・判定の仕組みをサービス化し(図1参照)、202148日より「営巣検知サービス」として提供開始しています。

図1 営巣検知サービスイメージ

巡視人数の削減、営巣見落としの抑止および迅速な営巣撤去の実現

「営巣検知サービス」は、自動車に搭載したカメラにより、走行しながら電柱等の配電設備を撮影し取得した画像を「Deeptector」が画像分析することで、営巣検知から判定結果の可視化を瞬時に行い(図2参照)、撤去指示者へメール通知を行うものです。リアルタイムに営巣検知することで、営巣検知から撤去作業までの時間を短縮します。

また、巡視時に撮り溜めた画像を事務所へ持ち帰り一括で判定することも可能です。これにより営巣有無判定作業や撤去の漏れを抑止します。このように、業務状況に応じて「リアルタイム判定」、「一括判定」と使い分けられるよう機能搭載しています。

図2 「Deeptector」判定結果

業務体制の面では、一般的に、営巣検知は車両から営巣の有無を確認するため、従来は営巣を目視確認する作業者と運転手の2名体制が必要でした。「営巣検知サービス」を導入することで、運転手のみの1名体制での対応が可能となり、さらに、詳細確認のための車両停止の頻度を軽減でき、労力削減を実現します。「営巣検知サービス」は、短時間で広範囲の巡視が期待でき、迅速かつ効率的な営巣撤去に貢献します。

「営巣検知サービス」横展開の可能性、およびAIによる社会課題解決の追求

「営巣検知サービス」は、鉄道等の車両にカメラを搭載することで、巡視業務の適用領域を拡大できる可能性があります。さらに、鉄塔、建物などのさまざまなインフラ維持管理業務にも活用が可能であり、多様な業界の業務効率化を加速させることが期待できます。

Deeptector」は、「営巣検知サービス」により電力業界にも参入しましたが、インフラメンテナンス、製造業の外観検査、ヘルスケアなどさまざまな業界で利用されています。今後も、AIサービスのさらなる拡充によるAIの利用促進を図り、企業のデジタルトランスフォーメーション推進に貢献するとともに、データとAIを活用することで都市における社会的な課題の解決を支援し、スマートシティの実現をめざします。
*「Deeptector」はNTTコムウェア株式会社の登録商標です。


NTT
コムウェア

ネットワーククラウド事業本部プラットフォームサービス部 DPS-BU

 

お客様の声

重要な社会インフラである送配電設備では、例年春先にカラスの営巣による停電が多発します。対処は人の目による巡視、発見、早期撤去で、撤去数は年間2万件以上に上ります。「カラスの営巣巡視」にかかる業務負担は長年課題になっており、AIを活用したシステムで自動化、省力化に効果が期待できると導入を決定しました。Deeptectorは映像に映っているカラスの営巣を取りこぼさずに認識する能力(再現率)が高く、重要インフラへの導入を選定する上で大きなポイントになりました。今回、大半の巣については人の目による巡視と同等の能力をAIが発揮できるようになったと評価しています。AIはさらなる開発によって検知精度が向上することから、今後、人の目と同等、そして人の目を超える能力を持つ営巣検知も可能になるだろうと考えています。営巣検知サービスの利用拠点の拡大に向け、知識やノウハウ、アイディアを持ち寄り一緒に解決していけることを期待しています。

四国電力送配電株式会社 通信システム部

副リーダー 稲田 圭吾氏(右)

      松岡 正之氏(左)


お問合せ先

NTTコムウェア株式会社

URL:https://www.nttcom.co.jp/

Deeptector<営巣検知サービス>

URL:https://sc.nttcom.co.jp/ai/deeptector/eiso-kenchi/