NPS®とは

NPS®(ネットプロモータースコア)をご存知だろうか?

顧客満足度に代わる、新しい顧客ロイヤルティ指標として普及が進んでいる。顧客満足度では、「このサービスや商品に満足していますか?」と聞くが、NPS®では「このサービスや商品を友人や知人に薦めますか?」と聞く。

満足か?と聞かれると、特別な不満がない場合、大体の人がYESと答る。ところが、人に薦めますか?と聞かれると、ちょっと考えてしまう。そして薦めたい具体的な理由を持った人だけが「薦めます」と答える。これが、NPS®が顧客ロイヤルティを的確に反映する「究極の質問」と言われる由縁だ。

NPS®のスコアリングはシンプルだ(図1)。既存顧客に「薦めますか?」と質問し、11スケールの内、10、9点を付けた顧客のみを「推奨者」、8、7点を「中立者」、6点以下は全て「批判者」と分類する。回答者全体に占める推奨者の割合(%)から、批判者の割合(%)を引いた値がNPS®のスコアだ。つまりNPS®は、顧客ロイヤルティが高いお客様の割合を指標化したものである。

図1

NPS®が上がると業績が上る

企業でNPS®の導入が進むのには理由がある。顧客満足度が上がっても業績が上がるとは限らないが、NPSRが上がると業績が上がるからである。これは、過去10年以上にわたる世界中の企業の実例から証明されている。

その構造はシンプルだ。

・人に薦めたいと思う=薦めたい理由を持つファン

・熱心なファンが好きな理由を話し薦めると、約3人に1人は購入する(過去実績調査より)

・ファンが増える→口コミで購入者が増える→業績は向上する

・NPS®が上がると業績は上がる

日本でも金融業界を中心に公式採用が進むNPS®

欧米ではFortune1000に掲載されている企業の3分の2以上がNPS®を導入している。日本でも、金融業界を筆頭に同様なムーブメントが起きている。金融庁が「フィデューシャリー・デューティー(顧客本位の経営)」を進め、しかもその進捗の見える化を提言しているからだ。NPS®は、この実践にぴたりと合う経営手法であり、顧客ロイヤルティ指標であったため、その採用が普及している。

15業界のNPS®ベンチマーク調査と、業界ランキングを提供

NTTコムオンラインでは、2017年より、毎年15業界の「NPS®ベンチマーク調査・業界ランキング」を発表している。(*注:約5.7万人への消費者調査)

図2は、2019年の結果だ。顧客満足度では80%超えもよく見られるが、NPS®では、日本企業の場合、そのほとんどがマイナススコアとなる。(つまり何となく悪くない/満足だけど、人に薦めるほどでもない、とお客様は思っているということだ。)

図2

本調査では、各業界におけるNPS®ランキングを発表すると同時に、NPS®ベンチマーク(基準値)を提供している。これによって業界基準からみた自社の位置づけや、競合他社との比較が可能となるため、多くの企業が活用している。又、NPS®トップ企業が、アニュアルレポートにその結果を掲載している。

NPS®向上ソリューション

NPS®向上させていくには、2つのポイントがある。

1つ目は、主要な顧客接点(店頭、コールセンター、EC等)で、顧客対応の都度フィードバックを頂き、必要な改善を行い、信頼を得る「トランザクショナルNPS®」。

2つ目は、上記トランザクショナルNPS®から得られる顧客の声を包括的に捉え、サービス/商品や事業に必要な抜本的・戦略的改革を行う「リレーショナルNPS®」。そして、それは経営層にしかできないことだ。

多くのNPS®トップ企業は、「トランザクショナルNPS®」と「リレーショナルNPS®」を車の両輪として走らせている。

例えば、ある家電メーカーでは、コールセンターでオペレータが顧客対応する度に、NPS®フィードバックを得ている。オペレータの丁寧で適切な対応の結果、トランザクショナルNPS®は高い。しかし、リレーショナルNPS®は低い状況があるとする。なぜか?トランザクショナルNPS®で得られたVOCを分析すると、販売している機器の操作がわかりにくく、オペレータは、その面倒な操作の対応をしていることが判明した。この場合は、投資をし、機器のUXを変えない限り、リレーショナルNPS®は上がらない。その判断は経営層に求められる。

当社では、この2つのNPS®を同時に把握・分析し、NPS®向上に向けたアクションを促すまでをワンストップで提供するSaaS「NPX」を提供している(図3)。

図3

「NPX」では、Webインターフェースから、①顧客VOCアンケート調査作成、②自動配信と回収、③VOC結果のリアルタイム分析、③改善に必要なアクションを提示・アラート発出等までをワンストップで行う。「NPX」は、ソフトウェアでNPS®のPDCAを回す仕組みだ。

また当社では、ソフトウェアで仕組みを作る事に加え、「NPS®資格取得講座」と「NPS®基礎講座」を2020年2月下旬より開始した。グローバルで約6000人の方が本資格を取得し、企業のNPS®を推進している。

日本での更なるNPS®普及活性化を「NPX」、そして「NPS®ベンチマーク調査」や「NPS®資格・講座」を通じ、ご支援していきたい。

〈NPS®については以下のサイトへ〉

https://www.nttcoms.com/service/nps/