映像配信サービスの先駆者としての取り組み

NTTぷらら(以下、当社)では、2008年3月にIPv6マルチキャスト放送とVOD(Video On Demand)を提供するサービス「ひかりTV」を開始して以降、国内映像配信サービスの先駆者として、事業および市場の拡大のため、多くのチャレンジを実践してきた。

同年5月に地上デジタル放送、2010年10月にBSデジタル放送のIP再送信を開始して放送サービスとしての基盤を整えるとともに、ショッピング、音楽配信、電子書籍、クラウドゲームといったマルチサービスの提供によって収益基盤の確立を図り、2014年10月には国内初となる商用4K-VODサービス、2015年11月には商用4K-IP放送、2017年11月には世界初となるHDR(High Dynamic Range)対応4K-IP生放送を提供するなど、新しい映像技術への対応にも積極的にチャレンジし、先進的な映像配信サービス事業者としての地位を築いてきた。

NTTドコモとの協業

近年はNTTドコモとの協業により、NTTグループのコンシューマ向け映像配信事業の強化を推進している。

NTTドコモ提供の約12万のビデオオンデマンドが視聴できる定額制動画配信サービス「dTVR」や主要スポーツの試合映像が見放題となる「DAZN for docomo」を「ひかりTVチューナー」で視聴できるよう対応したのを皮切りに、2018年1月には31の専門チャンネルが見放題となる「dTVチャンネルR」、2018年9月にはドコモ光などの光回線を利用し、「dTVチャンネルR」とあわせて79の専門チャンネル、「dTVR」とあわせれば約13万のビデオオンデマンドが楽しめる「ひかりTV for docomo」の提供を開始した。

上述の2サービスにおける当社の役割は、サービスプラットフォーム提供、サービス企画、配信するコンテンツの企画・制作・調達など多岐に渡る。

また一方で、現在5,000億円規模とされるライブ・エンタテインメント市場は今後も拡大していくと予想されており、最新の映像技術の活用による市場拡大寄与を目指して、NTTドコモが提言する「新体感ライブ」構想に参画する。

2017年9月には第一弾トライアル施策として、当社がライブ演出から技術開発、映像制作等の協力を行い「NTT DOCOMO Presents アンジュルムvsアップアップガールズ(仮)新体感音楽ライブイベント」を実施。実際のライブにおけるアーティストの映像・音声を、NTT研究所が開発したイマーシブテレプレゼンス技術「Kirari!※1」を活用してリアルタイムに伝送し、別会場のステージにアーティストの疑似3D映像を投影することで、遠隔地のライブがあたかも目の前で行われているように楽しめる仕組みを提供した。

さらに2018年3月には、映像新技術による新たなライブ配信サービスのトライアルとして「新体感ライブ」アプリを開発。ARマーカーになっているアーティストグッズにスマートフォンをかざすとリアルなCGで作成されたアーティストの演奏を好きな角度から楽しむことができる「バーチャル3Dフィギュア」、スマートフォンでさまざまな角度のカメラ映像を選んで視聴できる「マルチアングル配信」を行い、このような新技術を用いて、布袋寅泰、スキマスイッチ、m-floといった著名アーティストのライブをNTTドコモと共同で制作・配信した。

2020年の5G導入を見据え、今後もこのような新たな映像体験の創出にも積極的に取り組んでいきたい。

コンテンツクリエーション・カンパニーへ

2017年以降、「Netflix」、「Amazonプライムビデオ」といった映像配信サービスのグローバルジャイアントが、その豊富な資金力を背景に日本市場に向けてオリジナルコンテンツを続々と投入してくるようになった。

このような状況下で、これまで当社ではコンテンツの獲得は外部調達が中心だったが、競争力強化のためオリジナルコンテンツの制作にも本格的に取り組んでいくこととした。

2017年4月、吉本興業とのアライアンスにより開始した映像配信サービス「大阪チャンネル」では、ダウンタウン、NMB48といった同社所属の人気タレントを起用したコンテンツの共同制作への本格的な取り組みを開始した。

さらに、数年前から劇場公開映画への出資にも本格的に取り組んでいる。2018年2月公開の俳優・齊藤工が監督・齊藤工として初の長編作品に挑んだ「blank13」では、製作委員会の主幹事として作品制作に関わった。ドラマ、バラエティ等の制作だけでなく、このような劇場映画の制作にも積極的に取り組み、2018年度は10本以上の映画作品への出資を予定している。

2018年4月には社内にコンテンツの企画・制作・調達を統括する「コンテンツ事業本部」を組織し、その中にオリジナルコンテンツを専門的に制作するチーム「コンテンツ・クリエーション・タスクフォース」を新たに設置した。

加えて、社外からもノウハウを取り込むため、資本提携・業務提携にも積極的に取り組むこととし、5月には「攻殻機動隊シリーズ」や「進撃の巨人シリーズ」などを手掛けるアニメ制作大手IGポート社との資本業務提携、「奇跡体験!アンビリバボー」や「TERRACE HOUSE」などを手掛ける大手テレビ番組制作会社イースト・グループ・ホールディングス社との業務提携を実現。両社とは本提携を通じてスマートフォン向けの短尺・タテ型のオリジナルコンテンツを始めとした、さまざまな映像コンテンツの企画・制作において連携し、高品質で価値ある映像サービスの事業創出と普及に向けて取り組んでいく予定である。

さらなる飛躍に向けて…

昨今、ユーザは特定の携帯端末や通信事業者に縛られるサービスを好まない傾向にあるが、継続的に私共のサービスを選択して頂くためには、“コンテンツによって、如何にユーザとのエンゲージメント「絆」を形成できるか”が課題になる。また、AR、MRやAIといった最新技術と従来の映像の融合により、今後、コンテンツは“視聴”されるものではなく、“体感”されるものに進化していくと考えている。

我々は、そんな時代に対応し、一人ひとりのユーザを包み込むような、粘着性が高く、ユーザの期待を良い意味で裏切るレベルの最新技術融合型コンテンツを制作開発し、立体的・連続的に提供することで、「いつでも、どこでも、さまざまなコンテンツをワクワクしながら体感できる…」。そんなユーザエクスペリエンスの高い環境を提供して行きたいと考えている。

※1 「Kirari!」を活用したライブビューイングは、実際の音楽ライブイベントにおいて、Kirari!技術の確立を目的としたNTT研究所及びNTTドコモとの共同トライアルとなります。

<お問い合わせ先>

koho@plala.co.jp