クレジットカードで守るべきカード情報

クレジットカードで守るべき「カード情報」には以下のものがある。クレジットカード番号(PAN:Primary Account Number)、クレジット会員名、サービスコード、有効期限、セキュリティコード、暗証番号PIN(PIN:Personal Identification Number)、そして、カード情報を含む全トラックデータである(図1参照)。

図1 クレジットカードの「カード情報」

これらのうち、クレジットカード番号はカード会員を識別する番号で、最も重要な情報となる。最大19桁までの数字列からなり、チェック・デジットがついている。暗証番号PINは、サインの代わりに本人確認に使用される。セキュリティコードは、カード署名欄の右上あるいはカード表面に記録された3桁数字で、CVV(Card  Verification Value)などと呼ばれている。磁気ストライプデータには含まれていない。そのため、スキミングなどにより磁気データを丸ごとコピーされても、オンライン決済でこのセキュリティコードの入力を求めることにより、不正利用を防ぐことができる。サービスコードは、カードが国外で使えるのかなどが規定されているコードになる。

カード情報を守る実行計画とは

2018年6月1日に施行された改正割賦販売法では、クレジットカードを取り扱う加盟店に対して、これらのカード情報を適切に管理することが義務づけられた。

具体的な内容は、「クレジットカード取引におけるセキュリティ対策の強化に向けた実行計画(以下、実行計画)」に示されている。クレジット取引セキュリティ対策協議会が作成し、年度毎で更新されている。

実行計画には、大きく以下の3つの対策が記載されている。

(1)カード情報を盗らせないようにするためのカード情報保護対策。加盟店におけるカード情報の「非保持化」の推進と、カード情報を保持する事業者のPCI DSS準拠。

(2)偽装カードを使わせないようにするための不正利用対策。「クレジットカードの100%IC化」の実現と、「決済端末の100%IC対応」の実現。

(3)なりすましをさせないようにするための「非対面取引」における不正利用対策。リスクに応じた多面的・重層的な不正利用対策の導入。

対面加盟店でのカード情報保護対策

実行計画に示されている(1)カード情報保護対策のうち、店員とカード保有者が対面して決済が行われる対面加盟店については、「非保持化」
またはPCI DSS 準拠が求められている。

具体体的な方式には、「外回り方式」と「内回り方式」が想定されている。

図2 対面加盟店での「外回り方式」      図3 対面加盟店での「内回り方式」 
(参考:「クレジットカード取引におけるセキュリティ対策の強化に向けた実行計画-2018-」)

「外回り方式」は、POSシステムを介さないで決済を行っている加盟店に求められる方式である。図2に示すように、カード会社から貸与されている、カードを差し込んで暗証番号の入力を求めるICカード対応のCCT端末を設置し、CCT端末上で決済することで、自社のPOSシステムを介さずカード情報を外部の決済GW等に伝送することができるため、「非保持化」を実現しているとみなされる。

「内回り方式」は、図3に示すように、POS システムを介してカード情報を送付している場合に求められる方式である。前号でも述べたPCI P2PE(Point-to-Point Encryption)と呼ばれる、暗号化することでカード情報を保護する技術を備えたソリューションを導入することで、「非保持化と同等/ 相当のセキュリティ措置」を実行したものとみなされる。また、
クレジット取引セキュリティ対策協議会の定めた11項目のセキュリティ要件を満たせば、同じく「非保持化と同等/ 相当の措置」を実行したものとみなされる。

なお、「非保持化」とは、自社で保有する機器・ネットワークにおいてカード情報を電磁的情報として保存しない、処理しない、通過させないことをいう。そのため、意外かもしれないが、クレジット取引伝票やカード番号を記したFAX、申込書、メモ等の紙媒体、それら紙媒体をスキャンした画像データ、電話での通話データにカード情報が含まれていても、それらがあるだけでは「保持」しているという解釈にはならない。

2020年に向けたキャッシュレス化の推進

実行計画では、対面加盟店でのカード情報の非保持化、またはPCIDSS準拠をオリンピック・パラリンピック東京大会が開催される前の2020年3月末までに完了することが求められている。また、(2)偽装カードを使わせないようにするための不正利用対策である「クレジットカードの100%IC 化」と、「決済端末の100%IC対応」についても、2020年3月末までに完了することが求められている。

政府が「日本再興戦略2016」において重要な政策課題と位置付けている「キャッシュレス化の推進」が、2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会に向けて進んでいくこととなる。

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