NTTテクノクロス株式会社

ForeSight Voice Mining

生成AI/「tsuzumi」を活用した通話要約機能により FSVMのアフターコールワークの効率化を促進

(2023年12月号掲載)

コールセンター現場では、お客様からのお問い合わせ内容等の履歴をシステムに登録する作業(アフターコールワーク)を行っています。応対内容のメモとオペレーターの記憶をもとに応対履歴をまとめるには、多くの時間を要することから、アフターコールワークの効率化は解決すべき課題の一つとされてきました。
 こうした背景のもと、NTTテクノクロス株式会社(以下、NTTテクノクロス)は、従来からの主力製品である「ForeSight Voice Mining(以下、FSVM)」に生成AIを活用し、会話内容の要約・応対レポートを作成する機能を付加することで、課題を解決に導きます。

FSVM新バージョンをリリース
—生成AI導入により提供価値を拡大—

FSVMは、NTTの研究所が開発した高度な音声認識技術を要素技術とするコールセンターAIソリューションです。コールセンターでの通話音声をリアルタイムにテキスト化するだけでなく、定量的・客観的な分析を行うことにより、お客様の経営課題を解決。2014年の販売開始以来、販売実績は通信・金融業界を中心に導入席数5万1千席以上、拠点数500ケ所以上※1となります。10席から数千席までさまざまな規模のコールセンターで採用されています。
2023年10月、NTTテクノクロスは長年にわたり蓄積したノウハウとFSVM導入企業からのご要望をもとに、FSVM新バージョンをリリースしました。新バージョンには生成AIを活用して要約文や応対レポートを作成する機能を追加。これにより、従来からのFSVMの提供価値の一つである生産性の向上が一段と強化されます。

※1 2023年10月末時点の累計販売数に基づく

 

新バージョンの特長
—高いCXとデザイン性はそのままに効率化を促進—

オペレーターのメモと記憶をもとに行われるアフターコールワークは、オペレーターの労力を奪うだけでなく、レポートのクオリティに差が生じたり、また同じオペレーターであっても日によって違いが生まれたりする場合がありました。これに対し、新バージョンは、生成AIが要約文を作成し、あらかじめ設定した「お客様からの用件」、「結果」、「履歴」等の項目について、プロンプトをもとに抽出、客観性・均一性のとれたレポートを自動で作成します。プロンプトは、FSVMの従前からの特長でもある高いUIとデザイン性を維持した画面上で、目的に応じてお客様自身で簡単に設定できます(図1)。
その他、新バージョンには以下のような特長があります。
要約文字数や「箇条書き」、「項目ごと」、「レポート形式」等の出力指定が可能
個人情報のマスキングが可能(投入したデータは生成AIの学習には用いられません)
オペレーターの応対評価や、商談成否の判断等プロンプトの内容を工夫することで、コールセンターの付加価値の拡大が可能

 

CRMシステムともシームレスに連携

お客様との応対後、オペレーターはCRMシステム(顧客管理システム)への投入にも一定の時間を割いていました。これに対し、FSVMは、Salesforce等CRMシステムとのシームレスな連携を提供。要点がまとめられた応対履歴に加え、通話の詳細は通話情報(通話テキスト、重要事項説明のチェック、スーパーバイザーとのやり取り、応対スコア、感情推定結果等)から確認することができます。

図1 FSVMの通話要約機能の高度化とCRMシステムとの連携

 

NTT独自の大規模言語モデル「tsuzumi」を
活用しコールセンター業務プロセスの高度化

FSVMは、「tsuzumi」を活用し、通話要約機能のさらなる高度化を進めます。高度化の1つ目として、専門性への対応を推進します。「tsuzumi」は少ない追加学習量で、より専門性の高い言語モデルにチューニングできるため、保険や金融をはじめとする様々な業界や、企業の特定組織の特有の語彙や言い回しなど、専門性に対応した要約の自動生成ができます。これらにより通話記録の作成時間の短縮が可能となり、関連部署への情報共有といった業務プロセスの効率化も図れます。
高度化の2つ目として、「tsuzumi」のパラメタサイズの軽量性を活かし、通話要約の言語モデルを企業のローカル環境で運用できるため、機微な情報を扱うコールセンターにおける情報セキュリティの確保を図ることも可能です。

 

今後の展開

NTTテクノクロスは、「tsuzumi」を活用したFSVMによりコールセンター業務プロセスの更なる高度化を推進していきます。
また、今後予定している「tsuzumi」のチューニング機能のさらなる充実やマルチモーダル機能を活用し、これまで以上の様々な業界への展開や新たな用途へ、FSVMを対応させていきます。

NTTテクノクロス株式会社
カスタマーエクスペリエンス事業部
第二ビジネスユニット(左から)
(左)統括マネージャー 松井 一比良
(中)アシスタントマネージャー 

            増田 真也
(右)リーダー                今井 聡

お問合せ先

NTT テクノクロス株式会社 カスタマーエクスペリエンス事業部
https://www.ntt-tx.co.jp/products/foresight_vm/    

foresight-voice-mining.info-ml@ntt-tx.co.jp