NTTグループのソリューションガイド

ICTソリューション総合誌 月刊ビジネスコミュニケーション

ビジネスコミュニケーション

ネットワークとITの融合によるシナジーを提供する
“Software-Powered Services Network”

本格化するFMC/NGNへの取組み

固定、移動といったアクセス方法やデバイスを問わず、IPベースのシームレスなアクセス環境の実現を目指すFMC(Fixed Mobile Convergence)と、それを実現する次世代ネットワークとしてのNGN(Next Generation Network)に関する各社の取組みが本格化している。サービスごとに異なるネットワーク、プロトコルの組み合わせから、IPとSIPによる統合された環境への移行は、IT環境との親和性もあいまって、情報通信のあり方を大きく変える次世代技術として期待を集めている。この変革を新たなビジネスチャンスとして捉え、各通信事業者は独自の強みを活かした戦略を発表し、各ベンダーからも多彩なソリューションの提案が行われている。

しかし現状では、いかにシームレスな「ネットワーク」を構築するかに多くの通信事業者やソリューションベンダーの注目が集まり、いかにシームレスで魅力的な「サービス」を提供するかという視点が忘れられがちである。

これに対し、ネットワーク側からのアプローチに加え、アプリケーションサービス側からのアプローチを組み合わせることで、よりシームレスな環境の実現と魅力的なサービスの提供が可能になるとするのが、マイクロソフトが提唱する“Software-Powered Services Network”コンセプトだ。

ソフトウェアの力を活かす
“Software-Powered Services Network”

マイクロソフトが提唱する “Software-Powered Services Network (SPSN)”コンセプトは、自社サービスだけでなく様々なサービスを迅速に融合し、競争力の高い新しいサービスを素早く低コストで提供出来るような、理想の通信事業者像である。

図1 (クリックで拡大)
図1 マイクロソフトが提唱する“Software-Powered Services Network”の概念図 (クリックで拡大)

サービスコントロールレイヤが、既存および次世代ネットワークと連携し、自社やパートナー企業のサービスをコントロールおよびアグリゲートすることにより、様々な顧客のニーズに合わせたサービスを短期間かつ低コストで提供することが可能になるという。

マイクロソフトはSPSNコンセプトに基づき、

  • (1)アプリケーションサービス基盤
  • (2)アプリケーションサービス
  • (3)デバイス

の3領域を中心としたソリューション提案を行っている。

基盤の領域には、アプリケーションサービスの構築と連携のプラットフォームとなる“Connected Services Framework(CSF)”、アプリケーションサービスの領域には、“Microsoft Solution for Hosted Messaging and Collaboration(HMC)”や“Microsoft TV IPTV Edition(MSTV)”といった高付加価値アプリケーションサービスソリューション、デバイスの領域では、Windows XPやWindows Mobile等、いつでも、どこでも、シームレスな利用を可能とするデバイス用OSを提案している。

マイクロソフト 通信・メディアソリューション本部の杉山 昇本部長は「いかに魅力的な付加価値サービスを提供出来るかが、NGN及びFMCの実現において最も重要なポイントであり、ソフトウェアが大きな力を発揮する領域です。通信事業者様は、次世代のネットワークと合わせてこれらソリューションをご活用頂くことで、真に競争力に秀でた次世代の通信サービスを提供することが可能です。」と述べている。

サービスイネーブルメントを牽引するマイクロソフト

サービスイネーブルメント(提供)の領域において、世界の主要通信事業者が相次いで、マイクロソフトのソリューションの採用を表明している。Bell Canada、BT Retail、France Telecomを始めとする12以上の通信事業者が、CSFの採用を決定ないしは検討しているという。

たとえば、BT Retail では、CSFを活用し、中小企業向けにパッケージ化されたブロードバンド アクセスや電子メール ホスティング サービスを提供している。また、France Telecom ではコンシューマと企業の双方に対し、音声、ビデオ、データの統合サービスを提供する予定だ。その他の通信事業者によって実装されているアプリケーションは、地下鉄からの Wi-Fi アクセスやコンテンツ サービス、メッセージングや会議機能、またゲーム サービス アクティベーションなど、多岐にわたる。

また、マイクロソフトは先に開催された3GSM World Congress 2006 において、Ubiquity Softwareと共同で、CSFとIMS(IP Multimedia Subsystem)の連携デモンストレーションを展示した。

このデモでは、CSFがIMSの機能を補完することで、複数のWeb サービスにアクセスし、ユーザー設定に応じた動的な再集約を可能にする、リアルタイムな統合アプリケーションの構築を紹介した。具体的には、テレフォニーや位置情報を含めたIMSが提供するサービスと、地図情報や電子メールなどのWebサービスがCSFによって統合され、“迷子”のモバイル加入者を目的地まで道順案内するというものだ。ネットワークとITが、CSFとIMSの連携によって融合されるという点で、非常に注目されたデモである。

ビジネスエコシステムの形成を促進

マイクロソフトの取組みで注目すべきもう一つの側面は、幅広いユーザーと膨大な開発コミュニティ、充実したパートナーチャネルを持ったビジネスパートナーとしての役割である。言うまでもなく、デスクトップOSとしてのWindowsとオフィススイートとしてのMicrosoft Officeはデファクトスタンダードであり、技術、マーケティングの両面で大きな影響力を持つ。

さらに、Javaではモバイルアプリの開発に特有のスキルを必要とするが、.NETではモバイルからサーバーソリューションまで、基本的に同一のスキルで開発可能な環境が提供されている。そのため、.NETの開発人口=モバイルソリューションの開発が可能な人口と言っても過言ではない。これらの事実は、通信事業者がサービスやソリューションをマーケットに展開するうえで非常に重要なポイントとなる。

また、マイクロソフトは認定パートナーと共同で、企業規模や課題に応じた法人ソリューションの提案を積極的に行っている。特にこれからの成長が見込まれているモバイル連携ソリューションを中心に、マイクロソフトは通信事業者のビジネスエコシステムの形成に大きく貢献するだろう。


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