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ICTソリューション総合誌 月刊ビジネスコミュニケーション

ビジネスコミュニケーション

国内での採用が加速する Windows Mobile
ユーザーインタフェースとして、FMC/NGNを支えるデバイス用高機能OS

国内通信事業者における相次ぐ採用

国内において、Windows Mobileを搭載した端末の発売、採用決定が加速している。昨年12月の発売以来大きな反響を呼んでいるWILLCOMの「W-ZERO3」を皮切りに、NTT DoCoMoからも2006年下半期での発売予定がアナウンスされている。また他社においても検討に関するニュースが報じられるなど、ここにきてWindows Mobileの採用や検討が急速に進んでいる。

それでは、Windows Mobileが次世代の通信サービスにどのようなインパクトを与えるのだろうか?通信事業者がWindows Mobileを採用する意義を探ってみたい。

幅広いOSラインナップ

最初に、マイクロソフト製品における「Windows Mobile」の位置づけを確認しておきたい。
Windows MobileはWindows CEをベースとした機器組み込みOSの1ラインナップであり、携帯デバイスに特化したプラットフォームである。携帯電話やPDAとして必要となるコンポーネント、推奨アーキテクチャが用意されているため、高機能なデバイスを短期間で開発、リリースすることが可能になる。

図1 Windows OSファミリの適用領域
図1 Windows OSファミリの適用領域

Windows Mobileを採用する理由

それでは、各社がWindows Mobileを採用する理由は一体どこにあるのだろか?まず挙げられるのが、マイクロソフトのデスクトップ、及びサーバー製品との親和性だろう。企業でほぼ標準環境となっているMicrosoft Officeの文書を閲覧したり、Exchange Serverのメール、予定表、連絡先等の情報に、場所や時間にとらわれずアクセスすることが可能だ。また、操作性はWindows XPやMicrosoft Officeの流れを継承しているため、利用にあたり特別なトレーニングが不要である。法人マーケットを考えた場合、この親和性は非常に大きなメリットとなる。

図2 さらに進化した、Windows Mobile 5.0の業務生産性
図2 さらに進化した、Windows Mobile 5.0の業務生産性

次に、デバイスの市場投入までに必要な期間が短い点が挙げられる。通常、携帯電話の開発には18ヶ月程度の期間が必要とされているが、Windows Mobileを搭載した携帯電話は非常に短期間での投入が可能である。これは、マイクロソフトから予め推奨アーキテクチャ等が示されていること、また、Windows Mobileを熟知したODM(Original Design Manufacture)を活用することにより、必要な要素を「組み合わせる」感覚でのデバイス開発が可能なためである。

図3 さらに洗練された統合開発環境
図3 さらに洗練された統合開発環境

さらに、デバイスを活用した「ソリューション」の開発が容易である点も大きなメリットである。携帯向けのJavaアプリケーション開発は、Java言語を使用するものの、携帯アプリ独自のスキルと環境が必要とされるため、開発人口はいまだ少数に限られている。これに対し、Windows Mobileでは、開発環境はPCやサーバーと同じくVisual Studioを利用しての開発が可能である。特にWindows Mobile 5.0の開発環境は、Visual Studio 2005と Windows Mobile 5.0 SDKに統合されたため、より統一された開発アプリケーションで作業が行え、既存の IT資産や開発者のスキルをそのまま活用することが可能である。

加えて、多くの無線通信プロトコルに対応しており、FMCの実現に必須である複数プロトコルへの透過的なアクセスが提供されている。

企業ユースに必要な機能を提供

企業の重要な情報を利用するデバイスには、高度なセキュリティ機能に加え、IT管理者が必要に応じてデバイスを設定可能にする管理機能が求められる。Windows Mobile 5.0 では、米国政府が定めたセキュリティ要件である「FIPS-140-2」適合認定を取得しているほか、IT管理者によるデバイスの一元管理機能も装備している。また、本年中にリリース予定のMessaging and Security Feature Pack for Windows Mobile(MSFP)により、次のような管理機能が提供される予定だ。

(1)セキュリティポリシーの適用

IT管理者はデバイスに対し、リモートから企業のパスワードポリシーを適用出来る。具体的にはパスワードの強さ、長さ、およびMSFPを搭載していないデバイスの使用可否の設定などを行うことも可能。

(2)ローカル&リモートでのデバイス中のデータ消去

IT管理者は、リモートでデバイス中の情報を消去したり、工場出荷時の状態に戻すことが出来る。また誤ったパスワードを指定回数入力するとデバイスのメモリのデータを消去するなどの設定を行うことも可能。

(3)証明書ベースの認証

クライアント証明書による認証のサポートにより、パスワードの入力や、ログイン時の認証なしで企業内ネットワークへのアクセスを管理することが可能。

また、System Management Serverにより、社内のPCやサーバーと同様にモバイルデバイスのインベントリ管理が可能である。

モバイルデバイスが「特殊なもの」でなくなりつつある今、PCと同様の開発性、セキュリティと管理性を併せ持つWindows Mobileは、通信事業者のビジネス展開において目の離せない存在である。


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