ネットワンシステムズ株式会社/ネットアップ合同会社

DXに向けた新ICT基盤の機能や運用性を 仮想環境で共同実証する、マルチクラウド検証施設“Lab as a Service”

(2021年4月号掲載)

ネットワンシステムズ株式会社(以下、ネットワン)は、デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)のため新たなICT基盤の導入を検討するお客さまが機能や運用性などを検証するための環境“Lab as a Service(以下、LaaSを提供している。本稿ではその概要、およびネットアップ合同会社(以下、ネットアップ)のストレージソリューションを活用したサービスメニューについて紹介する。

マルチクラウド/先端技術の検証環境を無償ですぐに利用可能

DXを推進する企業の多くが、マルチクラウド/ハイブリッドクラウド環境を必要としている。そうしたICT基盤の利用を進める前に、セキュリティ、安定性、運用手順などを確認したいというニーズが強い。しかし検証にはさまざまな準備が必要であり容易ではない。この問題への解決策として、ネットワンが社内エンジニア向けの検証施設をベースに20205月に提供を開始したのがLaaS(図1)であった。

図1 Lab as a Service 全体構成図

「ハイブリッドクラウド環境でお客さまと一緒にDXに向けた検証を行うことを目的とした無償のサービスです。弊社のテクニカルセンターに用意したオンプレミス環境と、各種SaaSAWSAzureなどのクラウドと連携可能です。操作環境は構築済みであり、すぐに利用を開始できます。設定や操作をレクチャーするシナリオベースの操作ガイドを用意したほか、弊社スタッフが技術的なアドバイスも行います。このため統合的な運用を短期間で体感していただくことが可能です。」(川崎氏)

ネットワンシステムズ株式会社
ビジネス開発本部 ビジネス開発本部 第1応用技術部 第1チーム
マネージャ 川崎 勝氏

LaaSの主なサービスメニュー

現時点で16あるLaaSのサービスメニューから、特に引き合いの多い5つのソリューションを紹介する。 

Cloud Network

AWSやAzureといったパブリッククラウドサービスやSaaSとのセキュアな閉域接続を可能にするネットワンのクラウドHUB”を利用できる。マルチクラウド/ハイブリッドクラウド環境を必要とするさまざまなユースケースの確認に役立つ。

Hybrid Cloud VMC on AWS

AWSクラウドで動作するVMware環境、“VMware Cloud on AWS”の利用が可能。ハイブリッドクラウド構成や、クラウドへのシステム移行の確認に役立つ。

Cloud Monitoring

オンプレミス環境からクラウドまで、システム、アプリケーション、サービスを横断して一元的な運用監視を可能にするSaaS“Datadog”を利用できる。たとえばマルチクラウド環境で提供するサービスのインフラリソース監視といったユースケースの確認に役立つ。

Cloud Governance

パロアルトネットワークスの“Prisma Cloud”を利用し、マルチクラウド/ハイブリッドクラウド環境やSaaSを含めたICT環境で、一貫したセキュリティとコンプライアンスを確保する手法を体感できる。

Local 5G Lab

2020年12月に遮蔽物に強いSub-6帯(4.7GHz帯)が制度化され、ますます注目が高まっているローカル5Gの運用手法を確認できる環境も用意されている。電波特性の把握やユースケースの検討・開発に向けた技術的な確認等に利用できる。

ネットアップとの協業による“Hybrid Cloud with Data Fabric”

LaaSのサービスメニューのうち、ハイブリッド環境下でのストレージ活用を重視したDXの検証に役立つのが“Hybrid Cloud with Data Fabric”だ。ネットアップの製品やソリューションを活用し、バックアップやデータ共有、迅速な開発・テスト環境の用意など、さまざまなユースケースについて検証を行うことが可能となっている。

オンプレミス環境にはオールフラッシュ、かつさまざまなアクセス形式やプロトコルをサポートするユニファイドストレージ“AFF C190”が用意されている。またクラウド側にはソフトウェア・デファインド・ストレージ“Cloud Volumes ONTAP(以下、CVOが用意されている。これらとレプリケーションツール“SnapMirror”を組み合わせることにより、オンプレミス・クラウド間のデータ連携を体感できる。

想定されている主なユースケースの1つが「DRBCPサイトのクラウド環境への移行」だ(図2)。CVOによりクラウド環境でのDRが可能になるため、DRサイトを別途構築する必要がない。アクセス頻度の少ない「コールドデータ」のみクラウドストレージで保管する “FabricPool”機能により、性能を低下させることなくデータ管理コストを抑えることも可能だ。

同様の仕組みにより、複数の拠点においてネットアップのストレージで管理しているデータを、クラウドへ統合的にバックアップするというユースケースもニーズが強いという。

「現時点でLaaSでご確認いただけるのは、AWSCVOだけですが、弊社ではすでにAWS以外のCVOもリリースしています。今後、LaaSAzureなどもご利用可能になる予定です。」(田中氏)

ネットアップ合同会社 ソリューション技術本部
シニアテクニカルパートナーマネージャ 田中 隆行

リモートアクセスによるLaaSの利用を拡大

ネットワンのテクニカルセンターを利用できることが特長の1つだが、一部のSaaSメニューについてはリモートからアクセスして検証を行うことも可能となっている。

「現在は一部のLaaSメニューのみが対象ですが、今後は弊社テクニカルセンターにお越しいただかなくてもより多くのサービスメニューをご利用いただけるよう、もっと柔軟にリモートアクセスできるようにしていく方針です。」(川崎氏)

お問合せ先

東日本第2事業本部 第1営業部 青山・上田

(ntt-laas-bc-Gr@netone.co.jp)