ジュニパーネットワークス株式会社

運用の自動化とUXの飛躍的向上を実現するJuniper Mist AIソリューション

(2021年9月号掲載)

ユーザーの体感品質を最優先に考えるエクスペリエンスファーストネットワーキングの実現に向け、AIを活用しかつてない最高のユーザーエクスペリエンス(UX)を提供する「AIドリブンエンタープライズ」の取り組みに注力するジュニパーネットワークス(以下、ジュニパー)。本稿では、AIを活用した運用(AIOps)ソリューションと、実際の導入事例を紹介する。

AIを活用したネットワークインフラの運用管理を実現する「AIドリブンエンタープライズ」

ジュニパーは、一昨年にAI技術を活用したクラウド管理型Wi-Fiソリューションを手掛けるMist Systemsを買収して以降、自社製品との連携によってネットワークインフラの運用の自動化・負荷軽減を実現する「AIドリブンエンタープライズ」の取り組みを加速している。ジュニパーの技術統括本部長を経て、現在は常務執行役員 NTT営業の責任者を務める加藤浩明氏は、「ジュニパーは、エクスペリエンスファーストネットワーキングの実現に向け、AIを活用して通信品質を踏まえた最高のUXを提供する“AIドリブンエンタープライズビジョンの推進に注力しています。その核となるのが、AI/MLエンジンである“Marvis(マービス)です。ジュニパーのAI活用はWi-Fiのみに留まらずエンタープライズネットワーク全体に広がっています」と強調する。

ネットワークにつながるデバイス、ユーザー、アプリケーションの数が年々急増するなかで、ネットワークインフラの品質とUXを最適に維持するためにはAIの活用は不可欠だ。Juniper MistAIドリブンエンタープライズは、ネットワーク基盤に「クラウド+AI/機械学習」を採り入れ、ネットワークの運用管理の自動化・負荷軽減を実現する革新的なビジョンである。その意味では、ネットワークの既成概念をリセットし再デザインする取り組みだ。最大の特長は、①100%オープンAPI設計に基づくマイクロサービス化されたモダンクラウドアーキテクチャ、②Marvisによるプロアクティブ型のAIOpsサポートと自然言語をベースにした運用支援、③150種類を超えるKPIの継続的なモニタリングと学習によるUXの可視化・分析と最適化の3点だ(図1)。

図1 ネットワークの既成概念をリセットし再デザインするJuniper MistのAIドリブンエンタープライズ

 

AIを活用し、UXの可視化・運用管理の自動化・省力化を実現する「Juniper Mist AI

無線LANから有線LANSD-WANエッジ、セキュリティ、クラウドまで、エンタープライズネットワークのノード全体に対象を拡張、一気通貫でUXを分析・可視化し、運用管理の自動化・省力化に向けたAIドリブンの運用を実現するのが「Juniper Mist AI」によるAIOpsソリューションだ。このソリューションは、AIによる異常動作の検知機能に基づく事前対応型のトラブルシューティングとネットワークオペレーションの自動化が最大の特長だ。

例えば、Juniper Mist特有のマイクロサービス化されたクラウドアーキテクチャによって、サービスを停止することなく安定的な運用と継続的なソフトウェアのアップグレードを可能にしている。またネットワークの運用管理を支援するMarvisのバーチャルネットワークアシスタント機能は、利用者の自然言語による問い合わせに対し、質問内容を理解して関係する情報や障害原因調査のアドバイスなどを返してくれる次世代のカスタマサポート機能である。

「例えば、運用担当者がMarvisに、今日一番UXが悪いと感じているユーザーは誰?と質問すると、いろいろな指標に基づき、順位をリスト表示してくれます。これによりユーザーからクレームが上がってこなくても、状況を容易に把握できます」(加藤常務執行役員)。

ここにきてJuniper Mist AIの導入が拡大しているが、以下ではいくつかの導入事例を紹介する。

導入事例にみる大規模ネットワークの設計・展開・運用の時間短縮やOPEXの大幅軽減効果

①米アイビーリーグの名門校:API活用によるフル自動化でOPEXを大幅に軽減

マルチベンダー環境でのネットワーク機器の展開・移動・撤去などに加え、ポリシーやコンフィグ変更などの設定変更などもJuniper Mist APIを活用することで運用維持コストを大幅に軽減。さらにMarvisを使ったヘルプデスクを開設し、ITスタッフのリソース配分に貢献。また、キャンパス内の経路案内、BLEビーコンタグを活用した資産管理に加え、今後位置情報サービスを使って学生の出欠確認、会議室予約、各種通知サービスなどの提供も検討している。

②米著名工科大学:Juniper Mistクラウドへのスムーズな移行で、OPEXの大幅削減を実現

オンプレAPとコントローラのセントラルスイッチングによるWi-Fi環境の構築を含めたキャンパスネットワークの更改に1年間取り組んだが、レガシー仕様であったためWi-FiおよびネットワークのUXを把握することができない点と、ベンダーロックインになることを懸念して一旦更改を断念。で紹介した大学でのJuniper Mistに対する評価結果を参考に、1万台を超えるJuniper Mist APと、十数台のMist Edgeを導入し、数カ月でスムーズにJuniper Mistへの移行を完了。1サイトで最大約2,400 AP収容、400万/日のクライアントイベント検知、40万/日のPCAPによる解析を実施しているほか、高密度環境でのRRMFast Roaming(802.11r)最適化、オートメーション技術を活用した業務の効率化も図り、OPEXの大幅な削減を実現した。

Juniper MistのAPは設置場所の選定・設置・調整をクラウド上のAIが自動で行うのが大きな特長だ。

③西友:Juniper Mistクラウドによるネットワーク管理でコストと運用工数の大幅削減を実現

オンプレAPとコントローラからなるモノリシックな大規模ネットワークをJuniper Mistに移行し、AIOpsを導入することで、APIによるスケーラビリティを駆使した大規模ネットワークの設計、展開、運用の負荷を大幅に削減した。また、AIを使うことで障害対応自体を自動化できるほか、トラブルシューティング時間は従来と比べ10分の1程度に削減している。

④ServiceNow:ダッシュボードのGUIとAIによる自動化で運用負荷を軽減

Wi-Fi関係のトラブルチケットが月平均200件程度あり、会社全体の生産性向上の大きなボトルネックになっていた。Juniper MistWi-Fiダッシュボードでネットワーク全体の可視化と根本原因の特定を実施。AIによるプロアクティブサポートの仕組みによって、トラブルチケット数は、月数件に激減している。

⑤イスラエル博物館:展示会のレイアウト変更にダイナミックに対応可能な来館者用ネットワークを実現

AIによる電波自動調整により、展示会場のレイアウトに変更が発生してもWi-Fiの安定性が維持される。Juniper Mist APに内蔵されているBLE仮想ビーコン機能により、展示物の移動や新設、撤去の際にも物理的工事が不要。しかも1m以内という高精度の位置情報サービスの提供を実現している。60台のJuniper Mist APを導入し、ほぼリアルタイムのデータ解析に基づき、来場者とスタッフのネットワーク体感を大幅に改善している。

ジュニパーネットワークス株式会社

常務執行役員

加藤 浩明


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