光IP連携トラヒック制御技術を開発
-将来のバックボーンネットワークの柔軟性・信頼性を飛躍的に向上-
NTT情報流通基盤総合研究所
NTTは、IPルータと、WDM(波長分割多重)装置などに接続して、ギガビットクラスの高速光信号の経路の振り分けを波長単位で可能とする光クロスコネクト(OXC:Optical Cross Connect)ノード装置から構成されるバックボーンネットワークにおいて、ネットワーク資源の効率的な利用、予測困難なトラヒックの需要変動への柔軟な対応、故障・災害時の迅速な復旧を可能とする光IP連携サーバを試作し、基本動作の実証実験に成功した。
本技術により、IPルーターと光クロスコネクトノード装置の両方の情報を用いたトラヒック制御アルゴリズムを用いてバックボーンネットワークを制御し、 柔軟性と信頼性を同時に向上させることが可能になる。また、通信キャリア独自のトラヒック制御アルゴリズムをノード装置から分離し、光IP連携サーバに実装することで通信キャリア毎のトラヒック制御ポリシーを反映することができる。
NTT研究所がこれまで培ってきたIPネットワーク上に論理的なパケットスイッチネットワークを構成するGMPLS(Generalized Multi-Protocol Label Switching)制御技術と本技術を連携させることにより、柔軟・高信頼なバックボーンネットワークを実現することが可能となる。
なお、6月22日~23日に明治記念館(東京)で開催される国際会議「iPOP 2006」(IP+Optical network 2006において、本技術に関する発表を行うとともに、マルチベンダ装置環境から構成される相互接続実験に参加する。
「iPOP 2006」は、IPと光ネットワークに関する最新技術について新たな発見や成果を産業界と学術コミュニティの間で共有することを目的として開催される国際会議・展示会。通信キャリア、通信機器ベンダ、標準化団体などから光IPバックボーンネットワークの研究開発に携わる世界の第一人者が参加する。GMPLS相互接続ショーケース、最新のGMPLS機器の展示、論文発表などで構成される(http://www.pilab.org/ipop2006/index.html)。
開発の背景
IPをはじめとするデータ系サービスは、ブロードバンドの普及によるユーザー利用帯域の拡大に加え、ネットワークサービスが多様化してきており、事実、VoIPやストリーミングなどを用いた映像系コンテンツの配信サービスが急速に成長している。今後、現時点では想像しえない新サービスが登場するにつれて、トラヒック変動がダイナミックにおきることが考えられる。また、ブロードバンドの普及に伴い、通信網が社会インフラとしての重要性を増し、通信網の故障による影響度合いが高まってきている。そこで、予測困難なトラヒックの需要変動に対する柔軟性の向上や、故障・災害時において高信頼なネットワークサービスを提供しつつ、ネットワーク資源を効率的に利用することができるような、柔軟性と信頼性を両立させるネットワークが求められている。
従来の市中技術をベースとしたネットワークアーキテクチャでは、IPルータと光クロスコネクト装置は個別に制御されているが、予期せぬトラヒック変動に即応してネットワークを変化させるような高度なネットワーク運用を目指して、新たにIPルータと光クロスコネクト装置を連携制御させる仕組みをネットワークに導入することが議論され始めている。
NTTネットワークサービスシステム研究所では、IPルータと光クロスコネクト装置を効率的に連携制御する光IPバックボーンネットワークの研究・開発に取り組んでいるが、このたびIPルータと光クロスコネクト装置から構成される光IPバックボーンネットワークにおいて、IPルータと光クロスコネクト装置を連携させてトラヒック制御する光IP連携サーバを開発し、ネットワーク状態の急激な変化に対応したトラヒック制御の基本動作の実証実験に成功した。
技術のポイント
IPルータと光クロスコネクト装置の連携トラヒック制御を実現するキー技術として、以下の2つの技術を開発している。
(1)光IP連携トラヒック制御技術(図1参照)
図1 光IP連携トラヒック制御
本技術では、IPルーターと光クロスコネクト装置のネットワーク資源を一元的に管理し、2つの装置に跨る経路の計算を行う。
また、トラヒックの需要変動や故障時のネットワーク状態の急激な変化に対して即座に柔軟に対応するため、IP網トポロジーを動的に再構成する。このようなネットワーク運用の高度化に加え、安定した高信頼なネットワークサービスを提供するために必要なネットワーク資源を削減できるというメリットが得られる。
(2)ノード装置からのトラヒック制御アルゴリズムの分離技術(図2参照)
図2 トラヒック制御アルゴリズムのノード装置からの分離
光IP統合トラヒック制御アルゴリズムをノード装置から分離し、品質、信頼性、効率等を考慮した通信キャリア独自のポリシーを反映するアルゴリズムを光 IP連携サーバに実装することで、通信キャリアは他の通信キャリアに対してネットワーク運用の差異化を図ることができる。光IP連携サーバとノード装置との間の制御インタフェースは、現在IETF PCE作業部会において、NTTを始めとして世界の複数の通信事業者、通信機器ベンダの参加のもと、標準化作業が進行中である。
実証実験の内容
実証実験においては、光IP連携サーバ、IPルータ、光クロスコネクト装置から構成されるネットワークにおいて、以下のような検証を行った。
- IPルーターと光クロスコネクト装置に跨った経路計算
- トラヒック変動に応じたIP網トポロジーの自動再構成
- 以上の動作における、光IP連携サーバを活用したトラヒック制御ポリシーの実現
今後の展開
NTT研究所では、今後、予測困難なトラヒック変動が生じるような時代に備えて、IETFでの国際標準化、複数の通信機器ベンダ装置との接続実験、実ネットワークの運用制御シーンに合わせたさらなる研究開発を進める方針である。
NEWS(2006年7月)
NTTグループ関連
- 光IP連携トラヒック制御技術を開発(NTT情報流通基盤総合研究所)
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- 入退出データのメール送信、塾生徒の防犯対策等に「QRIDマネージャVer.1.5」(NTTアドバンステクノロジ)
SIer・ベンダ
- NGNを構築する次世代ハイエンドルータの販売を開始(富士通/シスコシステムズ )
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- Debian ProjectがOSDLのCGL機能仕様を採用(OSDL)
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