マーケティングツールの乱立と統合的なプラットフォームの必要性

昨今、ユーザ企業のデジタルマーケティングツールの導入が加速している。しかし、ツールが個別に導入され、ツール間の連携がされていない状況が散見される。その為、「予定していた施策が実現できない。期待していた通りの効果が出ない」という声を耳にする。

理由としては、ユーザ企業の担当者が、中長期的な視点によるツール評価・選定に、十分な時間と期間をかけずに導入に至ってしまっていることが考えられる。新しいトレンドを追いかけることも重要ではあるが、ツールの効果を引き出す為には、マーケティングプラットフォームのあるべき姿をきちんと描き、自社のリテラシーや体制を踏まえたツールの見極めが必要だと考える。

ツールベンダーの淘汰・統合

マーケティングツールの増加が著しいと述べたが、このままの勢いが継続するかは疑問である。既に、大手ベンダーが新興ツールを買収・統合し、Suite製品化する動きも出始めている。今後は、ベンダーの淘汰・統合が進んでいくと考えられる。

ユーザ企業としては、ベンダーが集約されることによって、情報収集の手間は減るかもしれないが、ベンダーロックによる弊害、統合された製品群の不整合などのリスクを留意する必要がある。NTTデータは常に中立的目線でこのようなリスクを明確化しユーザ企業を支援していく。

グループ横断、同一業界企業の共同利用

ユーザ企業側でも新しい動きが出始めている。大手企業においては、グループ会社が個別に導入していたツールをグループ全体で統一し、横断的なプラットフォームにしていこうとする動きが出ている。また、中堅企業においては、同一業界の複数企業で1つのベンダー製品を共同利用し、低コストで導入しようとする動きが出ている。マーケティングツールは年単位の契約になっているものが多いが、最初から大きな投資の承認が得られるケースが少ないため、まずは複数企業で導入コストを抑えながら、徐々に拡充していこうとする動きは増えてくると想定している(図1) 。

図1 共同利用化のイメージ

Trusted Global InnovatorであるNTTデータとしての提供価値

◆幅広い業界への対応

一口にデジタルマーケティングといっても、対象顧客(BtoB、BtoC)や商品・サービス特性、商習慣、法規制等、業種・業界によって、前提条件や留意点は異なる。そのためマーケティングに関する知見だけではなく、様々な業種・業界の業務知見が重要となってくる。例えば、金融機関では情報セキュリティルールが厳しい事が多いため、顧客情報を安全に活用できる運用設計をするための業務知見が求められる。小売業では、短期間で商品入れ替えやキャンペーンが実行されるため、マーケティング部門の要望へのクイックな対応が求められる。

マーケティング知見のみならず、幅広い業界のお客様とお付き合いさせて頂く中で蓄積した、豊富な業務知見を活かせることがNTTデータの強みと考えている(図2)。

図2 代表的な業界

◆業界・企業横断マーケティング

昨今、自社に閉じた顧客接点や顧客との関係性の中でマーケティング施策を実行して効果をだすことが限界になってきていると考える。既に、異業種の複数企業によるコラボキャンペーン等は一般的になっているが、今後は、顧客接点や顧客情報を複数企業で共通化してマーケティングに取り組む動きも出てくると考える。例えば、コネクテッドカーから収集した位置情報などを用いて小売店がタイムリーな広告やクーポンを発行して来店誘導をする等、業界・企業横断でのマーケティング施策が考えられる(図3)。

図3 企業・業界横断のマーケティングイメージ

マーケティングは「モノやサービスが売れる仕組みを作ること」という本質的な点は変わらないが、テクノロジーの進化と共に、これまでできなかった顧客アプローチができるようになる、より精緻に顧客像をとらえる事が可能になるという具合に、日々、新たなマーケティング手法が生み出されている。

ここでも、幅広いお客様との関係がNTTデータの強みとなり、ビジネス・システムの両面から業界横断のマーケティング施策の橋渡し役として価値を提供できると考えている。

◆グローバルなソリューション展開

NTTデータではAdobe社等のグローバルなベンダーとパートナーシップを結んでいる。今後、マーケティング領域において、日本企業の海外拠点に対してデジタルマーケティングの支援を実現していきたい。例えば、グローバルで展開している企業では、マーケティングのKPIを統一していることがある。そのような場合の統合ツールの導入支援などができるようにしていく。

最終回となる今回は、デジタルマーケティングの今後展望とTrusted Global InnovatorであるNTTデータとしての新たな提供価値についてご紹介した。今後もNTTデータはマーケティング領域の取り組みを強化していく。何か情報提供が必要な方がいらっしゃればご連絡いただければと思う。

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