Tealiumの全体像

「Tealium」は2008年にアメリカで創業し、日本には2016年に上陸した比較的新しいマーケティングソリューションである。Tealium Universal Data Hubという世界有数のタグマネジメントとCDP、データマネジメントの機能を包括した顧客データ統合ソリューションを提供している。全世界で850社以上の企業が採用しており、接続しているサービスも随一である(図1)。

図 1 Tealiumと接続しているサービス(例)

Tealiumの活用により高度な“個客理解”と“アクション最適化”が可能

Tealiumはデジタルやオフラインで発生した行動ログを収集し、顧客単位に紐付けて管理する。また、行動ログをインプット、ユーザーの行動特性に合ったアクションに連携する。例えば、マーケティング・オートメーション(MA)等のツールに設定しているシナリオのトリガーを引くことが一般的である。Tealium社の独自の技術により、このプロセスが数秒の内に実施されることが、Tealiumというツールの最大の特徴だ (図2) 。

図 2 Tealiumの活用イメージ

また、Tealiumのユーザプロファイルは「バッジ」という他のマーケティングツールにはない概念で表現される。一般的なマーケティングツールでは、「セグメント」という単位でユーザー像を分けていくが、バッジを用いることで、顧客属性を柔軟に表現することが可能だ。

具体的なユースケースとしてECでカード放棄した場合のイメージを示しておく。まずはTealium上で、自社ECサイトの商品A関連のページを5回閲覧したユーザーに“商品Aの興味大”というバッジを付与し、商品Aをショッピングカートに入れたものの購入せずサイト離脱したユーザーに“商品Aカート放棄”というバッジを付与する設定を行う。次に、 “商品Aの興味大”と“商品Aカード放棄”の2つのバッジが付いたユーザーに購入リマインドメールを送信するようMAへ指示する設定を行う。これにより、条件に合致したユーザーに対し、購入促進メールをリアルタイムで送信可能だ。応用として、店舗来店、コールセンターなどの各チャネルとのリアルタイムな連携も実現できる(図3)。

図 3 バッジを用いたリアルタイムマーケティングのイメージ

Tealiumを活用したリアルとデジタルのチャネル連携事例

アメリカの大手ファッションブランドA社では、実店舗とオンラインストアでユーザーを個別に管理しており、コミュニケーション施策もバラバラに実施している状態であった。

A社では、ユーザーのLife Time Value(LTV)向上に向けて“リアルタイム”、“One to One”、“マルチチャネル”なマーケティングの実現を変革テーマとして掲げ、データハブツールとしてTealiumを採用した。Tealiumを中心にPOS端末を管理する基幹系システム・デジタルチャネルのコンテンツを制御するCMSツール等がつながることで、チャネルを跨いだリアルタイム施策の実現が可能となったのである。また、Tealiumに全チャネルの行動ログが収集されることで、CRM単体ではわからなかった個客インサイトの把握も可能となった。

Tealium導入の結果A社では、購買単価/年間購買額等のLTV指標の向上に加え、各チャネルでバラバラに実施していたプロモーションの最適化によるコスト削減等、非常に高いROIを得ることができている。

NTTデータだからこそ出来るTealiumの価値最大化

A社の事例を見て、リアルチャネルの裏側にある基幹・業務系システムとTealiumとの接続・連携に頭を悩ませた読者も多いのではないだろうか。この領域はまさにNTTデータの得意分野であり、NTTデータは“リアルタイム”、 “One to One”かつ“マルチチャネル”なマーケティングを実現するためにTealiumと基幹・業務系システムをつなぐことができる数少ないベンダーであると自負している。

弊社の経験則からすると、新しいマーケティング業務を支えるプラットフォームの構築を目論む場合、初期フェーズはスモール&クイックスタートが基本原則だ。しかしながら、基幹・業務系システムにおいては軽微な改修であっても時間を要することが常であり、経営層が求めるスピード感が出ない。そこで、基幹・業務系システムでやるべきことを代行する、柔軟な実装が可能なAWS・Google Cloud Platform(GCP)等クラウドサービスと連携させる必要がある。基幹・業務系システムに関する幅広い知見を有するNTTデータは、クラウドサービスと既存システム、さらにTealiumとのデータ連携させるシステム基盤の早期構築が可能だ。

最終回となる1月号では、デジタルマーケティングの今後の展望とTrusted Globarl InnovatorであるNTTデータとしての新たな提供価値について紹介したい。

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