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NTTデータ 介護施設向け見守りロボットサービ

「ロボット×IoTデバイス」で介護負担の大幅に軽減する介護施設向け見守りロボットサービス

(2018年6月号掲載)

高齢者介護では、人手不足の解消や介護サービスの質の向上(高齢者一人ひとりの状態に応じた効果的なサービスの提供)に向けたデジタル技術活用の検討が国レベルで進められています。NTTデータは、IoTデバイスで被介護者の状態を検知し、介護スタッフへの通知、ロボットから被介護者への声掛けを行うことで、介護スタッフの負担軽減や質の高い介護サービスの提供を開始します。

高齢者介護における政府動向及び介護ロボット市場

少子高齢化が進行し、団塊の世代が75歳を迎える2025年には、日本の高齢化率は30%を超え(※1)、福祉・介護人材は約38万人が不足(※2)するとされています。

そのような中、政府は、「ロボット新戦略」(平成27年2月10日日本経済再生本部決定)や「未来投資戦略2017」(平成29年6月9日閣議決定)において、介護ロボット機器の開発を重点施策に挙げ、現場のニーズに即した実用性の高い介護ロボットの開発、介護ロボットによる生活の質の維持・向上、介護者の負担軽減を目指しています。この政府方針により、介護ロボット市場は、2020年までに500億円、2035年には、4,000億円市場になると予測されています。

NTTデータが提供する「ロボット×IoTデバイス」で、介護負担の大幅軽減を実現する介護ソリューション

このような政府動向及び介護ロボット市場の急成長を踏まえ、NTTデータは、コミュニケーションロボット(Sota®*)を活用した介護支援サービスの検討を行ってきました。

2017年5月にコミュニケーションロボットを活用した在宅高齢者向けの生活改善効果の検証を目的とした実証実験を、2017年12月にオープンイノベーションフォーラム「豊洲の港から®」の取り組みの一環として、介護付き有料老人ホームで、被介護者の転倒事故未然防止と介護スタッフの負担軽減の実現を目指した見守り実証実験を実施しました。

これらの実証実験での成果を踏まえ、「ロボット×IoTデバイス」で介護負担の大幅軽減が可能な介護ソリューションの提供を開始しました。

この介護ソリューション「介護施設向け見守りロボットサービス」は、夜間見守りにおいて、被介護者のベッド周辺に設置した「眠りSCAN*」と「シルエット見守りセンサ*」の2つのIoTデバイスによって、被介護者の状況(覚醒・睡眠・起き上がり・離床)を把握し、被介護者の体の動きをシルエット映像から判別して、「起き上がり・はみ出し・離床」を検知します。起き上がり、はみだし、離床などの検知は、介護者が持っているスマートフォンに通知され、ベッド上の様子をシルエット画像で、スマートフォン上で確認することができ、介護スタッフは、ケアの優先順位や駆け付け判断を、離れた場所から行うことができるようになります。また、介護スタッフは、スマートフォンのボタン1つで、ロボットから声を掛けることができます。転倒リスクのある被介護者に、ロボットが「どうしましたか? スタッフの人が来るから待ってくださいね」等、離れた場所にいる介護スタッフに代わって声を掛けることで、転倒を未然に防止することができます。

さらに、この「介護施設向け見守りロボットサービス」は、被介護者がロボットとの会話を楽しむことが可能なコミュニケーション機能も兼ね備えているので、会話に加え、被介護者の健康を考慮し、ロボットが「水分補給しましょう」等と声掛けして、被介護者の活動を促すこともできます。

図1 介護事業所向け見守りロボットサービスの概要

 

今後の展開

高齢者介護では、先に述べた通り、国レベルでの介護ロボットやデジタル技術を活用した人手不足の解消や介護サービスの質の向上が検討されている一方で、介護現場では、IT化はまだまだこれからであるのが実態です。介護日誌の作成等の業務はほぼ手作業であり、高齢者一人ひとりの状態に応じた効果的なサービスの提供に向けて必要となる、高齢者の日々の心身状態に関するまとまったデータも存在しない状況です。

NTTデータは、「ロボット×IoTデバイス」による介護現場のさらなる革新を目指し、今後、介護日誌の音声入力機能や、高齢者介護施設事業を展開中の業者や介護有識者と連携して、AI技術を活用しIoTデバイス経由で常時取得する高齢者の複合データ(バイタルサイン、動態、音声等)に基づき、高齢者の心身状態を分析・評価して将来を予測する技術の開発を検討など、「介護施設向け見守りロボットサービス」の拡充を予定しています。また将来的には、介護事業所へのサービスの提供の経験・実績を生かし、在宅介護向けサービスの研究開発を行うなど、さらなる介護の質の向上を目指します。

 

  • ※1 出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29 年推計)」
    http://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2017/pp_zenkoku2017.asp
  • ※2 出典:厚生労働省「2025年に向けた介護人材にかかる受給推計(確定値)」
    http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000088998.html
  • 参考1:2017年5月16日ニュースリリース:在宅高齢者向けコミュニケーションロボット「Sota®」の実証実験を開始
    http://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2017/051601.html
  • 参考2:「豊洲の港から®」とは、2013年に設立し、約3,000名のコミュニティメンバーからなるNTTデータのオープンイノベーションフォーラムである。「さあ、ともに世界を変えていこう」を合言葉に、ベンチャー企業、当社のお客様及び当社にて「Win-Win-Win」となる革新的な新規事業創発を目指している。2017年度行ったセコムグループとの見守り実証実験は、「豊洲の港から®」の取り組みの一環として実現することができた。http://oi.nttdata.com/
  • *「Sota®」はヴィストン株式会社の登録商標です。
  • *「眠りSCAN」はパラマウントベット株式会社の製品です。
  • *「シルエット見守りセンサ」はキング通信工業株式会社の製品です。

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第二公共事業本部 第四公共事業部 第一統括部
【後列左から】課長代理 濱田俊一、部長 中尾高之、課長 荒木雅博
【前列左から】主任 谷口亜紗美、課長 三國陽子

介護現場の利用シーンに応じたサービスを提供することで、介護施設の運営とともに、介護スタッフの皆さんの負担軽減や質の高い介護の実現をサポートします。

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