セールスサポートの導入事例

前回までの記事では「ビジネスプロセスサポートサービス(以下BPaaS)」の概要について解説した。今回は、BPaaSの機能の一つである「セールスサポート」の導入事例を踏まえ、実際の効果や評価について紹介する。

事例① 通信機器メーカーA社

A社は、法人向けビジネスフォンの販売を中心とした「売り切り型」ビジネスを展開している通信機器メーカーだ。A社では、自社開発したビジネスフォンアプリをスマートフォンにインストールすることで「内線機能の社外持ち出し」という付加価値をつけた。さらにその機能を月額料金で提供することで、エンドユーザーとの長期的なリレーションを確立することを目的に、自らがMVNO(仮想移動体通信事業者)となって「サービス型(継続課金型)」のモバイル事業へ新規参入する計画を立ち上げた。

しかし、A社には「異業種」であるモバイルに関するノウハウがなく、さらに「サービス型」に必要な継続課金プロセスを運用する仕組みもなかった。

【導入効果】短期間で異業種参入に成功

NTTPCコミュニケーションズの「BPaaS」には、モバイル事業に必要な業務プロセスに即した機能が標準で具備されており、サービス提供事業者が新たに専用システムを用意する必要がない。つまり、サービス提供事業者は、新サービスの販売戦略やメニューの策定など、本来リソースを費やすべきコア業務へ、より注力できるというわけだ。

A社は「BPaaS」の導入により、計画から約3ヶ月という短期間で事業化を実現し、従来の「売り切り型」から「サービス型」への転換を果たした。

また、モバイル事業の成功を受け、次は「BPaaS」を活用した光コラボレーション(以下、光コラボ)事業への展開にも目を向けているという。

事例② システムインテグレーターB社

B社は、法人向け光コラボ事業を展開する回線系のシステムインテグレーターだ。事業開始以来、順調に規模を広げ、現在では2,500を超える回線をエンドユーザーへ提供しているが、日々の回線開通工事や撤去工事の運用をエクセルで管理しており、管理の煩雑さに起因してオペレーションミスが顕在化していた。

また、請求プロセスにおいても、毎月の料金計算やエンドユーザーへの請求を業務委託していたため、運用コストが嵩む要因となっていた。

【導入効果】既存の業務プロセス効率化

B社のように、事業開始当初は人手で運用を開始したものの、事業規模拡大に伴って、運用が煩雑さを増してくるというケースは多い。

「BPaaS」では、すでに展開しているサービスの顧客情報や契約情報を円滑にシステム間移行できるよう、APIまたはCSVによるデータ一括取込み機能を備えており、短期間での業務効率化を実現している。

表 BPaaSの事例一覧

事例③ 大手小売り事業C社

C社は、衣料品・生活雑貨・飲食店などの運営を全国規模で手掛ける大手小売り事業会社だ。傘下には40を超えるブランド、600を超える店舗を展開。それらの店舗をつなぐネットワーク回線には異キャリアが混在し、毎月の出退店も多く、煩雑な店舗インフラ管理が問題となっていた。特に百貨店や大型ショッピングモールへの出店では、入館時間の制限や事前の入館承認取得など、厳しい「建屋独自のルール」が存在し、運用の負荷に拍車をかける状態となっていた。

また、大半の店舗に複数のアナログ電話回線が敷設されており、そこへ使用頻度が低下しているFAX回線が重畳するなど、物理的な構成機器の簡素化も課題となっていた。

【導入効果】インフラ管理業務の負荷軽減

C社では、既存のインフラをすべて「光コラボレーション+ひかり電話」へ移行し、なおかつインフラ情報を「BPaaS」で一元化することによりインフラ管理業務の負荷を大幅に軽減することに成功した。

また、前述の「建屋独自のルール」に対しては、入館時間や作業担当者が決定したらメールで通知する機能を実装するなど、運用負荷をより軽減する仕組みを提供している。

このように「BPaaS」ではインフラ管理に必要な業務プロセスを、実際のケースを想定した仕組みによって、一気通貫で支援している。

事例④ ソフトウェア開発D社

D社は、創業以来、個社別のソフトウェア開発を中心に手掛けてきたが、近年の消費者動向に合わせて従来よりも安価なクラウドサービスへのシフトを図り、それらの請求プロセスを管理する手段として「BPaaS」を利用している。

今回のケースで求められるのは、マーケットプレイスのようにパートナー自身が商材を自由に作成できる仕組みと、それらを他の商材と組み合わせて請求できる仕組みだ。

D社では、課題となっていた自社のクラウドサービスを定額請求する仕組みを、BPaaSによって即時に解決した。今後は、BPaaSをさらに活用して、複数の商材を組み合わせたビジネス拡大も計画しているという。

また、この機能を応用すれば、モバイルサービスとIoT端末をセット販売したり、光コラボレーションにWi-Fiオプションをセット販売するなど、サブスクリプションビジネスを容易に拡張することができるようになる。

サブスクリプションビジネスの課題解決に向けて

今回紹介した事例からも分かるとおり、ひとくちに業務プロセスの課題解決と言っても、その内容は、業態や事業規模によってさまざまだ。

NTTPCコミュニケーションズの「BPaaS」は、今後もあらゆるケースに対応できるよう、業務プロセスのさらなる効率化と、取扱う商材拡張の両面から、サブスクリプションビジネス拡大に貢献していく予定である。

次回は、「オペレーションサポート」の導入事例を紹介しながら、同じくその効果/評価について解説する。

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