特集 世界をリードするNTTが考えるIOWN2 IOWN Global Forum

新たなコミュニケーション基盤の実現とIOWNの普及に向けたIOWN Global Forumの活動

2019年10月新たな業界フォーラムであるInnovative Optical and Wireless Network (IOWN) Global Forum(GF)について発表し、スマートな世界の実現に向けて、テクノロジー企業や通信事業者を含め幅広い分野から本フォーラムへの参加があり、具体的な活動を開始しています。

日本電信電話株式会社 研究企画部門

上段左から 細田 智久担当部長、荒金 陽助担当部長

堀 茂弘担当部長、中村 公宜担当課長

下段左から 森下 朋子担当課長、進藤 勝志担当課長、南端 邦彦担当課長

IOWN Global Forumの概要

IOWN GFは、人々の生活や人と技術の関係を劇的に変え、あらゆるものがつながるスマートな世界、IOWN構想の実現をめざす国際的なフォーラムとして、2020年1月に米国の法人として設立しました。本フォーラムの目的は、これからの時代のデータや情報処理に対する要求に応えるために、新規技術、フレームワーク、技術仕様、リファレンスデザインの開発を通じ、シリコンフォトニクスを含むオールフォトニクス・ネットワーク、エッジコンピューティング、無線分散コンピューティングから構成される新たなコミュニケーション基盤の実現を促進することにあります。6月末現在16社が本フォーラムに加盟しています。

IOWN Global Forumの組織とメンバーシップ

IOWN GFは、次に示す組織体制によって、IOWN構想の実現と普及を進めていきます。まず活動の中心となるユースケースワーキンググループ(UCWG)とテクノロジーワーキンググループ(TWG)の2つを設置し検討を開始しています。今後、検討が進むにつれて、ポイントを絞った検討を行うワーキンググループ(WG)やタスクフォース(TF)などが複数設置されることになります。

次に、複数のWG間の調整を行うなどのコーディネーション機能を持つのがステアリングコミッティー(SC)です。ユースケース、テクノロジーそれぞれのカテゴリをコーディネートする組織として、ビジョンSCおよびテクノロジーSCが設置されています。また、多様なプレーヤーに参加していただくために、対外コミュニケーションやフォーラムへの勧誘などのミッションを持つマーケティングSCが設置されています。そして、本フォーラムに関する最終決定を行う組織として、ボード会議(Board of Directors)が設置されています。それぞれの組織の活動を通じて会員各社は、本フォーラムの発展とグローバルでの普及推進に取り組んでいます。次に、本フォーラムでは、この組織体制を運用するのに必要なメンバーシップクラスを設定しています(図1)。

図1 メンバーシップ

現在は、ジェネラルメンバーとスポンサーメンバーの2つのメンバーシップクラスを用意しています。ジェネラルメンバーは、WGの副議長になる資格や、任意のWGに参加して活動・投票を行うことができるなど、本フォーラムの具体的な活動に参画して成果創出に貢献することが期待されるメンバーシップクラスです。一方、スポンサーメンバーは、ジェネラルメンバーが参加できる活動に加えて、フォーラムの運営にも貢献することが期待されるメンバーシップクラスとなっており、例えば、WGへの参画に加えてSCへの参画や各種議長や副議長およびボードメンバーに立候補できる資格、ボードメンバーの選任決議権を有します。

IOWN Global Forum活動本格化

2020年4月には、“IOWN Global Forum Vision 2030 and Technology Directions”と題するWhitepaperを公表し、本フォーラムが活動していく方向性を示しました。このWhitepaperでは、4つのTechnology DirectionやRoadmapなどを明らかにしました。このWhitepaperの公開を皮切りに、本フォーラムの会員に対して、SC/WGのキックオフを開催し、Whitepaperの内容に関する説明、Whitepaperを踏まえた検討項目(Work Items/Study Items)の提案を依頼するCall for Proposal (CFP)を発出し具体的な活動を開始しました。

また、5月にはWGメンバーを対象とし、Whitepaperの詳細説明やその内容関する議論をすすめることで理解を深めるための会議を開催しました。

その後も、6月には、会員・非会員を対象とした、Webinarを開催しIOWN Global ForumやWhitepaperの内容を紹介し、世界中から320名を超す参加があり多くの方から共感や賛同をいただくことができました。

IOWN Global Forum Vision 2030 and Technology Directions(Whitepaper)

Whitepaperは5つの章から構成されています。

第1章では、2030年のユースケースと要求条件について書かれています。2030年に向けて本フォーラムは様々な社会課題を解決してスマートな世界を実現していきます。

第2章では、IOWN構想を実現するために本フォーラムで取り組んでいく4つの技術の方向性について書かれています。

第3章では、第2章で示した4つの技術の方向性のおのおのに関して、各WGで検討することを想定した暫定的な検討項目を示しています。

第4章では、本フォーラムの短期ロードマップと中長期ロードマップを示しています。短期ロードマップでは、2021年12月までの活動内容を示しており、中長期ロードマップでは、18か月を1つのフェーズとして、フェーズ単位で活動の成果を創出することを想定した活動内容を示しており、2024年12月までに3つのフェーズが設定されています。フェーズ1は、2021年12月までに、リリースの1として、早期に導入の見込みがあるユースケース、機能、アーキテクチャを発表します。次に、フェーズ2では、2023年には、リリース1に関する技術仕様書や、リリース2に関するユースケース、アーキテクチャを発表します。フェーズ3では、2024年12月までに、リリース2に関する技術仕様書を発表します。

第5章は、Whitepaperのサマリーとなっています。7月現在、WGメンバーから様々な分野に関する数多くのWork Item/Study Itemが提案され、それらをもとに、SC/WGの各議長中心となってUCWGおよびTWGの具体的な活動計画や検討項目の優先順位などを決定し、各WGで活発な議論が行われています。

IOWN Global Forum今後の活動

IOWN GFは、「Global Forum」という名称が示すように、世界中で活動することを計画しており、メンバー会議や年次会議は、US、EC、APACなどで開催することを想定しています。

現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって、社会が大きく変わってきており、活発な議論を行うWGをはじめ各会合の開催は、Web会議や電話会議を活用して世界のどこからでも参加できるようになっております。私たちは、IOWN構想で描いた次世代の新しいコミュニケーションインフラをできるだけ早期に実現することで、Withコロナ、Afterコロナの世界における社会問題を解決し、新たな生活様式や社会活動をよりよい方向に導くための大きな貢献ができると信じています。NTTは、2020年4月にIOWN構想の実現に向けた技術ロードマップを発表し、技術開発を推進してまいります。IOWNを構成する主要技術は、2021年よりリファレンス方式を順次実現し、本フォーラムでの検討を加速させるととともに、パートナー企業との有効性検証を早期に実施していきます。是非、IOWN Global Forumの活動を通じて、私たちNTTと一緒に新たな社会を実現していきませんか。

<参考資料>

[1] IOWN Global Forumニュースリリース https://iowngf.org/press-releases/

[2] IOWN Global Forumメンバーシップ  https://iowngf.org/join-forum/

[3] WN Global Forum イベント(Webinar)https://iowngf.org/webinars/

[4] IOWN Global Forum Whitepaper https://iowngf.org/white-papers/

連絡先 研究企画部門 iown-pr@hco.ntt.co.jp