特集 世界をリードするNTTが考えるIOWN3 IOWNへの期待とわが社の取り組み PartⅠ (2020年8月号)

これまでの概念を超え、持続可能な成長に向けたイノベーションを

2020年4月に発足したIOWN推進室は、NTTグループ会社が進めるプレIOWN事業などでの協業を図りつつ、2030年のIOWN実現に向けて必要な先進技術の実証・調査活動へ高い意識をもって取り組んでまいります。

株式会社 協和エクシオ

執行役員 IOWN推進室長 大久保 一彦

IOWN Global Forumに加盟し、IOWN構想の実現へ

インターネットやスマートフォンといった近年の技術革新により、社会のあり方は大きく変わってきました。そして、社会の情報化はますます進み、デジタルトランスフォーメーションが加速化される中、AIやIoT等の技術が生活シーンに取り入れられていくことで、私たちの暮らしは劇的に変化すると考えられます。

このような潮流に対し、革新的な技術によりこれまでのインフラの限界を超え、あらゆる情報をもとに個と全体との最適化を図り、多様性を受容できる豊かな社会を創るべく、当社としても、IOWN構想で提案されているように、光を中心とした革新的技術を活用した高速大容量通信、膨大な計算リソース等を提供可能な、端末を含むネットワーク・情報処理基盤がまさに不可欠になるだろうと捉えています。

IOWNについては、ワールドワイドでの推進組織として、IOWN Global Forumが既に設立されていますが、さまざまな業界のベスト・イン・クラスの会員企業が協力しつつ、増え続ける電力消費やデータ転送、保存、処理の要件など、社会が直面する多くの課題に対し、テクノロジーとユースケースの両面から取り組んでいます。

このような動きの中、当社では、2030年のIOWN実現に向けて、これまでの概念を超えたイノベーションにより、現代の社会に続くスマートな世界を関係パートナーとともに築いて行くべく、2020年4月にIOWN推進室を新設しました。

IOWN推進室は、大きなミッションとして、「IOWN Global Forumへの参画・貢献」をはじめ、短期的には「NTTグループ会社が進めるプレIOWN事業などでの協業を推進」し、中長期的には「未来のコミュニケーション基盤に必要な先進技術の実証・調査活動」に取り組んでいくこととしています。

また、IOWN推進室のメンバーにおいては、2030年を見据え、当社の持続的発展を基軸とした新たな未来創造を担うキーマンとして活躍してもらうべく、社内多方面の分野から若手の精鋭を招集していく所存です。マネジメントスタイルにおいても、フラットな組織を志向し、メンバーの自立性尊重、円滑な情報共有、意思決定の迅速化などを狙っていきます。

さらに、IOWN推進室の社内におけるレゾンデートル(存在価値)として、「錦の御旗」となることを目指しています。つまり、当社のさまざまな事業をIOWNという御旗のもと、関係パートナーと協力しつつ、大きく幅広に展開していくことを標榜しています。

IOWN関連事業および関連技術開発の推進アプローチ

当社は、IOWN構想の実現に向けて、新しいテクノロジーやユースケースの検討に早い段階から関わり、IOWNの構成要素である「オールフォトニクス・ネットワーク」「コグニティブ・ファウンデーション」「デジタルツインコンピューティング」のそれぞれに対し、長年積み重ねてきた高い技術力やノウハウをベースにアプローチしていきます。

2020年代の後半には、現在使われている光ファイバの容量限界が顕在化すると懸念されており、従来の波長分割多重に加え、空間分割多重を併用することで容量限界を克服しようとする、新たな光ファイバの研究開発が進められています。この新たな光ファイバは、コア及びモード(光の種類)を複数化することで実現されることから、オールフォトニクス・ネットワークへの適用にあたっては、高度な施工・運用・保守技術が不可欠になると想定されます。

例えばそこに、技能五輪国際大会・情報通信ネットワーク構築の競技(過去5大会)で金メダルを取得した当社の技術力(トラブルシューティング、光ファイバ融着接続、 配線施工等)が活かせると考えています。

写真1 技能五輪大会競技中の清水社員

また、NTTグループは、2018年9月に開始した米国ラスベガス市とのスマートシティプロジェクトにおいて、これまでのイノベーション地区からのエリア拡大をする等、取り組みをさらに加速しています。ラスベガス市に導入されたソリューションは、NTTの革新的なコグニティブ・ファウンデーションのシステムに基づいて構築されており、デバイスやネットワークからクラウドに至るまで、ICTリソースのリモートでの構築、管理、運用を可能にしています。

当社としても、これまでのネットワーク・コントローラやオペレーション自動化における開発実績のもと、NTTグループとの連携強化を図りつつ、コグニティブ・ファウンデーション等の開発に参画していきたいと考えています。

さらに、当グループのWHERE社は、デジタルツインを実現する本格的なツールとして、IoT専用インフラ「EXBeaconプラットフォーム」を独自開発し、オフィスをはじめ、工場、物流倉庫、工事現場、トンネル、病院など、さまざまな施設への導入を進めています。

図2 EXBeaconプラットフォーム

このIoT専用インフラは、対象施設において、人やモノなど移動体の位置情報と、温湿度を始めとする各種センサー情報を常時収集するほか、LEDの点灯指示を行うなど、施設の「見える化」のみならず、施設内の設備機器の「制御」を実現します。

さらに、蓄積された膨大なデータを統計・分析し、これまで分からなかった業務アクテビティを導出し、お客様の経営課題の解決にもお役立ていただいています。例えば、場所と仕事を紐づけて各人の動きから業務内容を把握し、作業日報を自動作成したり、プロジェクト単位の活動管理を可能にするなど、管理者・スタッフの双方にメリットを導き出せます。

「EXBeaconプラットフォーム」の適用範囲は広く、色々な建物施設への導入に加え、設備機器や什器、車両などへも搭載することで、新たな付加価値を創造でき、これによってデジタルツインコンピューティングの具現化を推し進めたいと考えています。

世界で戦えるICTイノベーション&エンジニアリング企業に向けて

当社の最大の存在基盤は、技術力です。時代が変わっても、常により優れた技術、一歩進んだ技術を追い求め、それを自分たちのものにしていく企業集団を目指しています。人と機械、機械と機械の繋がりが加速し、社会全体において点と点が線へと融合していく中、その全てをエンジニアリングで支えるのです。具体的には、「Engineering for Fusion」という企業戦略コンセプトのもと、アーバンシステムとヒューマンシステムといった大きく2つの領域で事業を展開していきます。

今後は「Engineering for Fusion」を掲げ、IOWN Global Forumの場を通じて異業種企業との協力関係を築きつつ、10年後のスマートな時代に不可欠なIOWNという次世代コミュニケーション基盤の実現を目指し、「ICTイノベーション&エンジニアリング企業」として大きく羽ばたき、社会そして世界に貢献してまいります。

連絡先

IOWN推進室 exeo_iown@en2.exeo.co.jp