複数通信事業者間における効率的なトラフィック分散方式を開発
-制御メッセージによるインターネットの負荷を1/30に削減-NEC
NECは、複数の通信事業者間において、インターネットのトラフィックを効率的に分散する制御方式の開発に成功した。今回開発した制御方式は、特定の通信事業者を経由したトラフィックのみを制御する方式、およびトラフィック状況に応じて自律的に制御メッセージの送信先を決定する方式。NECでは、これらの制御方式を利用することにより、インターネット上の制御メッセージ量を、従来方式と比べて約1/30に削減できるほか、通信事業者間のトラフィックを効率よく分散し、ネットワーク回線、ルータの負荷を軽減することで、インターネットの安定性向上に貢献できるとしている。
効率的なトラフィック分散方式のイメージ
開発の背景
インターネット上で顧客向けのトラフィック転送を行っている通信事業者は、経路制御プロトコルを用いて、他の事業者と接続を行っている。しかし、複数事業者間を接続するための経路制御プロトコルは、一般的にはトラフィック分散を想定して設計されていないため、以下の問題が生じていた。
①通信事業者が送信した経路制御プロトコルにおける制御メッセージは、ネットワーク全体に伝わる。従来のトラフィック分散では、事業者の経路ごとに、制御メッセージを複数に分けて送信する必要があった。この場合、複数に分けて送信することでネットワーク中に大量の制御メッセージが流れ、それを処理するための負荷が高くなってしまう。
②適切なトラフィック分散を行うためには、トラフィックの混雑状況に応じて適切な事業者を選択し、設定を変更する必要がある。トラフィック状況は頻繁に変化するので、その都度設定を変更することは管理者の負担となっていた。また、設定ミスにより通信障害を引き起こす可能性もあった。
これらの課題を解決するために、このたび開発した制御方式および要素技術の内容は、以下の通りである。
新制御方式の主な特長
1.特定の通信事業者経由のみを制御可能なトラフィック制御方式
ネットワーク負荷を上げることなく経路制御を行い、トラフィック分散を実現する方式を開発した。経路制御プロトコルの制御メッセージ内に、事業者を一意に識別する番号を指定可能とすることで、トラフィック送信元の通信事業者にのみ制御メッセージが届くようにした。これにより、ネットワーク全体における制御メッセージ数の増大を防ぎつつ、適切なトラフィック分散を実現することが可能となる。
2.制御メッセージの送信先を通信事業者が自律的に決定する制御方式
運用者の負担軽減を目指し、制御メッセージを送信すべき通信事業者の決定方式を開発。この方式では、通信事業者内の管理サーバにおいて、顧客向けトラフィック量を送信元の通信事業者毎に集計し、適切なトラフィック分散を実現するためにどの通信事業者に向けて制御メッセージを送信すべきかを選定する。送信すべき通信事業者の選定を、人手を介さずに行えるため、運用者の管理負荷を軽減できるとともに、設定の誤りなど人為的ミスの発生を防ぐことが可能となる。
なお、この開発は、総務省からの委託研究「次世代バックボーンに関する研究開発」の成果の一部である。
NEWS(2009年2月)
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