株式会社NTTデータ

BlurOn

映像から人物・物体を認識し、事業成果に貢献する 物体認識AIソリューション「BlurOn」 ~放送業界、交通業界、小売業界で作業負担を大幅軽減~

(2023年10月号掲載)

個人情報保護意識の高まりを受け、映像編集の際に必須となったモザイク(ボカシ)処理。作業漏れが許されないため、年々処理作業は増加傾向にあり、映像編集作業現場への大きな負担となってきました。NTTデータは、モザイク処理作業の負担を軽減するとともにコスト削減を求める映像編集現場のニーズに応えるべく、自社の物体認識AI技術を用いて、2022年7月、日本テレビ放送網株式会社(以下、日本テレビ)と共同開発した自動モザイク入れソフト「BlurOn」を提供開始。サービス提供から1年あまりが経過した今、「BlurOn」の成果と今後の可能性について紹介します。

映像編集現場の負担となっていた
手作業による従来のモザイク処理作業

自動モザイク機能を備えた映像編集ソフトが登場する以前、テレビ局などの映像制作・編集現場で使用されていた既存の映像編集ソフトは、自動トラッキング機能の精度や対象数が十分ではなかったため、モザイク処理は主として手作業で行われていました。
モザイク処理が多数要求される複雑な映像の場合は、1分の映像の処理に1時間以上の作業時間を要することもあり、番組1本当たりのモザイク処理作業に数十時間から100時間以上かかることも珍しくありません。また、情報の鮮度が要求される報道番組などでは、オンエアまでの作業時間が限られるため、作業の迅速さも要求されます。レギュラー番組の場合、これが毎週くり返されることになるわけです。
単純作業であるモザイク処理を行うスタッフのモチベーション低下や離職理由につながることもあり、経費削減の面からもモザイク処理の効率化は映像編集現場の課題となってきたのです。

図1 競合製品比較(BlurOn 以外の市販品10種類と比較検証)

AIによる自動処理でモザイク処理を効率化
作業時間を最大90%削減

2022年7月の提供開始以来、「BlurOn」は共同開発パートナーである日本テレビにより複数のポストプロダクション(撮影後の技術的仕上げ作業を行う映像編集会社)に導入され、今では日本テレビの番組に限らず、他系列局を含めた様々な番組の制作・編集に活用されています。
BlurOnは、Adobeが提供する映像編集ソフト「After Effects」のプラグイン として動作し(「Premiere Pro」とも連携可能)、AIで モザイク対象を自動検出します。検出対象は、人物の顔や頭部、身体のほか、場所や所有者の特定につながる背景や自動車のナンバープレート、スポンサー対策が必要な飲料、公職選挙法に抵触する選挙ポスターなど(図2)。
BlurOnを競合製品と比較すると、自動検出の精度は98%程度とずば抜けており(図1)、従来の手作業ではモザイク処理に1時間かかる1分の映像をサンプルに、手作業とBlurOnによる作業を比較検証した日本テレビによると、作業時間を最大90% 削減できたという結果が出ています(実際の番組では自動検出対象以外へのモザイク処理もあるため、運用実効値30〜 70% 程度の削減)。
BlurOnは、①After Effectsにモザイクを入れたい動画ファイルを追加し目的に応じて検出対象を設定、②クラウドにアップロード、③顔などの検出情報をダウンロード、④After Effectsでエフェクト(ぼかし、モザイク、色付けなど)、領域の形や位置などを調整という手順で利用可能で、モザイク処理作業にかかる手間と時間を大幅に削減することができます。
単純作業から解放された映像編集の現場から、「モザイク入れ作業が効率化された」「作業時間削減で気持ちが楽になった」などの声が上がっていることからもわかるように、スタッフのモチベーションアップにつながっている点も見逃すことはできません。

図2 BlurOnが対応している認識対象(2023年9月現在)

放送業界以外での活用を促進

サービス開始から1年あまりで、BlurOnは放送業界において「モザイク処理作業時間削減による働き方改革&経費削減」「迅速な番組制作・報道編集」「単純作業からの解放によるモチベーションアップ」などに貢献することができました。
放送業界以外の各業界においても、映像資産の活用には適切な匿名化処理が必要であることから、モザイク処理作業のニーズは高まっています。映像活用が求められるジャンルは非常に広範になっており、これまでの活用実績は、SNSをはじめとするインターネット配信用動画の処理、ドライブレコーダー映像の処理(自動運転開発、道路工事情報、デジタル地図)、監視カメラ映像の処理(商業施設の人流解析、行動解析、マーケティング)など、実に多岐にわたっています。
また、今後に向けて、ライブ映像に対するリアルタイムでのモザイク処理や、カメラモジュール内での機能実装について検討を開始しています。
認識対象が顔や車のナンバープレートであること、用途がモザイク入れであることは、あくまでも第一歩です。認識対象の拡大及び認識精度の向上を継続していくことで、映像内のあらゆるコンテンツを認識し、メタ情報として映像に関連付けることを目指しており、放送業界のみならず映像を扱う他業界でも映像データが一層活用される社会を実現します。
NTTデータは放送業界以外の各業界においても、ユーザーや法律専門家と連携し、「国内外の各業界における適切な映像資産活用」を推進していきます。

※QRコードから動画の視聴可能 

株式会社NTTデータ
第一インダストリ統括事業本部
メディア・情報サービス事業部
第1ビジネス統括部ビジネス担当
堀 友香氏

 

BlurOnは放送業界のみならず、自動車・地方自治体・医療等幅広い業界でご活用いただけます。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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