AI技術でコンタクトセンターの通話音声からお客さまの満足度を自動的に判定、オペレータへの評価に活かし離職を抑止

AIで「怒り」だけでなく「満足」の感情も判定可能に　

ForeSight Voice Miningは、NTT研究所のAI技術を用いて通話を分析することで、お客さまの怒っている感情を抽出することが可能です。コンタクトセンターに寄せられるクレーム通話は企業にとってはとても有益なものです。これまで通話をひとつずつ聴いて抽出することでしか見つけられなかったクレーム通話を、AIにより見つけることで、利用者にとって使いづらいサービスの発見やオペレータの応対品質改善に役立っています。

このような怒っている通話「怒り呼」の抽出に加え、新機能を搭載したForeSight Voice Miningでは、NTT研究所の「満足度推定技術」を用いることで通話におけるお客さまの満足した通話「満足呼」の抽出が可能になりました。

お客さまが満足した通話をオペレータの評価に反映

コンタクトセンター業界は離職率の高い業界と言われ、お客さまの満足度だけでなく従業員（オペレータ）満足度の向上が重要視されています。それは、顧客満足度の向上には、お客さまと直接電話で接する従業員満足度の向上が不可欠であると言われているためです。しかし、困りごとを解決したり対応品質を向上させたりすることで向上するお客さまの満足度とは異なり、オペレータの満足度向上には課題があります。

例えば、オペレータの評価は、お客さまの任意によるアンケート結果や評価者がランダムに抽出した録音通話により実施されます。しかしながら、限られた一部の通話しか評価されず公平性に欠けるため、オペレータのモチベーション向上（満足度向上）につながりにくいことが課題となっています。

また、会話から満足度を評価するにあたり、感情をあまり表に出さない日本人のお客さまに対し「ご満足いただけたか」を定量的に測定することは困難であり、評価者の主観が大きく影響することも課題の1つです。

ForeSight Voice Miningでは新たにお客さまの満足感情を定量的に自動測定できる機能を追加することで、通話分析へ活かすとともに、客観的な分析から公平で効果的なオペレータ評価を実現できるようになりました。これにより、トークスクリプトどおりに対応できているかどうか、といったオペレータの発話内容からの評価だけでなく、実際にお客さまがご満足しているかといった評価を加えることでより本質的な改善・育成ができるようになりました。さらに、お客さま満足度の高い通話が多いオペレータを表彰するなどすることで、従業員満足度を向上することが可能です。

深層学習に基づいてこれまで困難とされていたお客さまの感情状態を判定

NTTが長年培ってきた音声情報処理技術と深層学習（LSTM）により、機械が検出することは困難とされてきた満足の感情状態を推定できるようになりました。他社の技術と異なり、2人の会話の特徴を捉えて、感情を認識することで、日本人特有の機微な感情の変化を捉えられることが特徴です。具体的には、お客さまの声の高さやあいづちの取り方の変化、オペレータの感謝や謙遜の言葉の有無など様々な会話の特徴を分析し、通話全体および部分ごとのお客さまの感情（「不満」「普通」「満足」）を判定します。そして、通話におけるお客さまの満足状態を時間の経過とともに見える化することで、感情の変化を捉えた分析が可能になります。

具体的な活用方法として、満足と判定された通話群とそうではないと判定された通話群を比較し、満足度が高い通話にだけ頻出する単語を特定したり、着信時に不満であったお客さまがオペレータの応対により、満足になった通話の良かった点を分析したりすることで、その内容をトークスクリプトに反映しセンター全体の満足度向上施策にするなどに活用できます。