NTTコムウェア株式会社（本社：東京都港区、代表取締役社長：杉本 迪雄、以下 NTTコムウェア）は、タンジブル・ユーザー・インターフェース（*1）（以下、TUI）技術を活用した「タンジブル防災ソリューション（*2）」を、自治体などを中心に提案してきたが、この度、デジタルペン（*3）で全面的に操作が行える「タンジブル災害情報管理システム（デジタルペン版）」を新たに開発した。

本システムでは、机上などに投影した地図上に、災害時、対策本部などに集められた被災情報や観測情報・画像など、様々な情報を一元的に表示することができる。そして紙地図上の感覚で、書き込みや貼り付けなどの作業ができ、その情報は遠隔地とも共有できるデジタルデータとして活用することが可能だ。

背景と取組み

現在、自治体では減災に向けた施策の一つとして、災害時の迅速な状況把握や情報共有を実現すべく、GIS（地理情報システム）を用いて被災情報の集約・共有を行うシステムの導入を進めている。しかし一方で、災害時の混乱した状況下において、パソコンを用いた作業は極めて困難な場合が多く、従来どおりの紙地図上で作業するような、誰でも簡易に操作できるシステムが望まれていた。

特徴

机上の専用紙などにプロジェクターで地図を投影し、その地図にあたかも直接書き込む感覚で情報を入力することができる。デジタルペンで入力された情報は、時系列・災害種別毎にデータとして管理されているため、後で対応履歴などを確認・検証し、次の災害に向けた対策検討にも活用できる。

また、監視カメラや観測拠点などを地図上に表示させ、リアルタイム映像や観測情報を得ることで、より迅速な状況把握を行うことも可能だ。

◆地図書込み機能：

投影させた地図上に、災害種別や交通規制・現地拠点・各部隊の位置などのアイコンをスタンプ感覚で任意の場所に入力したり、被災範囲を囲む、不通道路・輸送可能路などを線で引くといった被災情報の入力が可能。専用付箋紙を用いると、手書きメモを電子的に地図上に画像として貼り付けることもできる。書き込まれた情報は、デジタルデータとして管理され、必要な情報を災害種別毎や時系列で迅速に確認することが可能。また、引いた線の距離や面積、ペンを置いた場所の住所や緯度経度などを情報として確認することもできる。

◆帳票入力機能：

ネットワーク環境を整備すれば、地域本部や関係機関などが、遠隔地から帳票用紙にデジタルペンで情報を書き込み送信することで、投影している地図へ情報を反映させることができ、共有が可能。

◆タイムライン機能：

「地図書込み機能」や「帳票入力機能」で入力した災害対応情報を蓄積し、表示したタイムライン上の任意の日時をデジタルペンで選択することで対応履歴を確認することができる。

【用語解説】

＊1　タンジブル・ユーザー・インターフェース （TUI）

Tangible（タンジブル）とは“実体のある”、“触れて知覚しうる”という意味で、マサチューセッツ工科大学メディアラボの石井教授が提唱した全く新しい操作感覚で、PCとそれを使う人間とのインタラクティブな関係を創る次世代のユーザー・インターフェース技術。

＊2　タンジブル防災ソリューション

TUI技術を活用し、パックと呼ばれる駒やデジタルペンによる操作で、災害シミュレーションなどを実現する防災ソリューション。平常時の防災教育向け「タンジブル災害総合シナリオシミュレータ」と災害時の情報管理向け「タンジブル災害情報管理システム」の２システムがある。

＊3　デジタルペン（アノト方式）

スウェーデン アノト社（http://www.anoto.com）が開発したペン型の入力装置。専用紙にデジタルペンで記入すると、記入内容がデジタル化される。手書きメモやイラストをデータ伝送できる。