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第101回 要求発展型開発プロセスの事例国立大学法人 名古屋大学 情報連携統括本部 情報戦略室 教授 山本修一郎

国立大学法人 名古屋大学 情報連携統括本部 情報戦略室 教授
(前NTTデータ フェロー システム科学研究所長)山本 修一郎

今回は、参照モデルに対する保証ケース(アシュアランスケース)の分解パターンについて紹介しよう。

システムには必ずなにかしらの参照モデルがある。したがって、参照モデルに対して保証ケースを作成することができる。そうすると、システムに対する保証ケースを作成する場合、システムの参照モデルに対する保証ケースを参考にすることができることになる。

たとえば、システムの保証ケースの構成要素は、参照モデルに対する保証ケースの構成要素に対応している必要がある。この議論をまとめると図1のようになる。

図1 保証ケース参照モデルの位置づけ

図1 保証ケース参照モデルの位置づけ

参照モデルに基づく保証ケースを参照モデル分解パターンと呼ぶ。参照モデル分解パターンには、たとえば、表1に示した5種類がある。システムリスク分解については、第100下位の連載で紹介したので、以下では、システムリスク分解以外について説明しよう。

表1 参照モデル分解パターン

表1 参照モデル分解パターン

組込み参照モデル分解

【分解問題】組込み参照モデル(図2)に基づいて保証ケースを作成する。

図2 組込み参照モデル

図2 組込み参照モデル

【分解状況】組込み参照モデル分解を適用する場合の前提となる状況は、ユーザー、ユーザインタフェース、制御装置、アクチュエータ、センサ、環境が明確になっていることである。

【解決策】組込み参照モデルの構造と構成要素間の関係に基づいて、親主張を分解できる。

たとえば図3で示すように、システムの安全性をユーザモデルと環境モデルを前提として、ユーザインタフェースの安全性、ユーザインタフェースと制御装置の相互作用の安全性、制御装置の安全性、制御装置とセンサの相互作用の安全性、センサの安全性、制御装置とアクチュエータの相互作用の安全性、アクチュエータの安全性、センサと環境の相互作用の安全性、アクチュエータと環境の相互作用の安全性に分解することができる。同図では、制御装置、センサ、アクチュエータについてさらに分解している。ただし、ユーザインタフェースや相互作用については分解を省略している。

図3 組込み参照モデルに対する保証ケース

図3 組込み参照モデルに対する保証ケース(クリックで拡大)

【特性】

利点:組込み参照モデル分解に従って、組込みシステムのリスク対策についての保証ケースを自然に作成できる。

欠点:組込みシステムの構造が図2と異なる場合、この分解パターンを適用できない。

【留意点】適用する際の注意事項として、次の点がある。
組込み参照モデル分解の前提ノードである組込み参照モデル、ユーザモデル、環境モデルを上位の主張ノードに接続するか、説明ノードに接続するかを決める必要がある。

セキュリティCC分解

【分解問題】システムセキュリティリスク対策を確認するために、コモンクライテリア(CC)に基づいて保証ケースを作成する。

【分解状況】セキュリティCC参照モデル分解を適用する場合の前提となる状況は、システム資源と、その脅威と対策が明確になっていることである。

【解決策】セキュリティCC参照モデルの構造と構成要素間の関係に基づいて、親主張を分解できる。

たとえば図4で示すように、システムのセキュリティ構造に基づいて、システムがセキュアであることを「ST(Security Target) 概要は安全」、「TOE(Target of Evaluation)記述は安全」、「TOE セキュリティ構造は安全」、「セキュリティメジャと方針は安全」、「ITセキュリティ要求は安全」、「TOE 概略仕様は安全」に分解することができる。

これらの主張はさらに分解できる。たとえば同図では、「TOE 記述は安全」について「セキュリティ概念について説明」することによって、「セキュリティ概念設計は安全」と「識別した保護資産は安全」に分解している。

【特性】

利点:セキュリティCC参照モデル分解に従って、対象システムのセキュリティ対策についての保証ケースを自然に作成できる。

欠点:対象システムのセキュリティ対策が、セキュリティCCと異なる場合、この分解パターンを適用できない。



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