ICTソリューション総合誌 月刊ビジネスコミュニケーション

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第77回 バランス・スコアカードの本質国立大学法人 名古屋大学 情報連携統括本部 情報戦略室 教授 山本修一郎

国立大学法人 名古屋大学 情報連携統括本部 情報戦略室 教授
(前NTTデータ フェロー システム科学研究所長)山本 修一郎

本連載第69回「ビジネスゴールと要求工学」の中で、バランス・スコアカード(BSC, Balanced Scorecard)のアプローチを簡単に紹介した。バランス スコアカード研究会(http: //www.nikkeipr.co.jp/nbsc/)を見てみると、日本におけるバランス・スコアカードの啓蒙活動が一段落して、次の目標として「BSCによる価値創造経営」の強化を図るようだ。この一方で、日本ではBSCに取り組んだものの、それ後必ずしも定着していない組織もあると聞く。

今回は、BSCを上手に活用するための留意点を、BSCの根本に立ち返って具体的に考えよう。そこでまず、BSCが持つ本質的な特性に基づく適用上の留意点と、BSCを導入する組織の特性に由来する適用上の留意点を考える。さらに、これらの考察の結果に基づいて、活動プロセスに基づくBSCの適用法を紹介する。とくに「研究活動」を例に具体的に説明する。

バランス・スコアカードとは

はじめに、バランス・スコアカード(BSC)の概要を復習しておこう。BSCは企業の経営戦略を財務、顧客、業務プロセス、学習と成長という4つの視点から多面的に立案、実行、評価していくためのフレームワークである。

BSCでは、財務の視点から見た戦略目標を最上位のゴールとして、このゴールを達成するための顧客視点のゴール、顧客視点のゴールを達成するための業務プロセスのアクションとしてのゴール、業務プロセスのゴールを達成するための学習と成長のためのゴールに戦略マップを用いて段階的に分解していく。また、これらのゴールを達成するための活動の重要成功要因(CSF, Critical Success Factor)が対応付けられている。さらに、ゴールの最終的な達成状況を監視するためにKPI(Key Performance Indicator)を設定する。

BSCの本質

BSCの根本はバランス・スコアカードとあるように、組織活動をバランスさせることにある。何をバランスさせるのかといえば、短期目標を達成するための活動と、長期目標を達成するための活動の間のバランスである。つまり、現在の業務の効率化を目標にするのか、それとも将来のイノベーションに向けた業務の創造を目標にするのか、あるいはこの両者の組み合わせをどうするのか、そういうことを戦略的に思考し判断する手段がBSCの本質である。つまり、組織活動の妥当性を説明する合理的な根拠を提供するのがBSCということになる。

活動には、当然のことだが過去、現在、未来という歴史としての活動史がある。つまり、すでに起きた結果としての活動、いま現在遂行中の活動と、これからやるべき未来の活動である。そうすると、もし活動を管理しようとすると、この順序が逆になって未来を計画し、現在を遂行し、結果を総括することになる。

BSCをこの活動史の観点から評価すると、財務の視点は活動の結果であるから、活動史としては「過去」である。顧客の視点では、将来の顧客を獲得する活動と、現在の顧客へのサービスを提供する活動の2つがある。業務プロセスの視点では、現在の顧客へのサービスを提供する活動がある。

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第59回以前は要求工学目次をご覧下さい。


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