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ICTソリューション総合誌 月刊ビジネスコミュニケーション

ビジネスコミュニケーション
第76回 非機能要求とアーキテクチャ国立大学法人 名古屋大学 情報連携統括本部 情報戦略室 教授 山本修一郎

国立大学法人 名古屋大学 情報連携統括本部 情報戦略室 教授
(前NTTデータ フェロー システム科学研究所長)山本 修一郎

今回は、本連載第23回で紹介した非機能要求について、アーキテクチャとの関係について考える。まず、アーキテクチャの基本概念と、SEIのATAM(Architecture Tradeoff Analysis Method)で用いられる品質特性シナリオを紹介する。次に前回紹介した運用要求の定義方法を品質特性シナリオに適用できることを示すとともに、非機能要求の矛盾に基づくアーキテクチャ設計手法についても紹介する。

ソフトウェアアーキテクチャの要素

ソフトウェアアーキテクチャの構成要素を表1に示す。

ソフトウェアアーキテクチャの構成要素を表1に示す。
ソフトウェアアーキテクチャの構成要素には、
①ソフトウェアを構成する要素
②ソフトウェア構成要素が満たすと想定できる特性
③ソフトウェア構成要素間の関係
がある[1]

ここで、ソフトウェア構成要素が満たす特性には、機能要求と非機能要求がある。この定義の重要な点は、ソフトウェアアーキテクチャが構成要素とそれらの関係だけではなく、構成要素が満たすべき特性もアーキテクチャでは明示する必要があるとしている点である。この理由は、構成要素の特性が定義されていないと、アーキテクチャの妥当性を確認できないからである。

非機能要求の種類

非機能要求には、次の3つのレベルがある。
①機能レベル:特定の機能に対する特性
②システムレベル:特定のシステム全体で満たす必要のある特性
③複合システムレベル:複数のシステムが満たすべき特性

機能レベルの非機能要求の例としては、計算効率やメモリ効率がある。システムレベルの非機能要求の例には、可用性や柔軟性、正確性などがある。複合システムレベルの非機能要求には、相互連携性、データ連携性、全体最適性などがある。

システムレベルや複合システムレベルの非機能要求を満たすために、必要となるソフトウェア構成要素として、データウェアハウスなどがある。このような構成要素の機能は、非機能要求を前提としていることになる。逆に言えば、非機能要求からアーキテクチャの構成要素とその特性としての機能を設計できることになる。

システムに対する非機能要求を達成するためには、そのためのアーキテクチャ上の判断が必要となる。もし、非機能要求からアーキテクチャ上の決定を導くことができれば、アーキテクチャの構成要素を合理的に抽出できる。

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第59回以前は要求工学目次をご覧下さい。


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