NTTデータ
技術開発本部
副本部長
山本修一郎
概要
連載14回ではゴールを用いた要求分析手法について紹介した[1]。そこではゴール分析手法について概観し、NFRフレームワークやトポスとゴール分析の関係などについて紹介した。連載15回ではi*手法についても紹介した。ビジネスモデリング方法論「MOYA」でもゴール分析をお客様の問題解決を支援する重要な方法のひとつとして位置づけている[2]。しかしゴール分析はUMLのユースケース分析などの機能分析に較べると、日本ではまだあまりなじみがないのではないだろうか。
本稿では、電子タグプライバシー保護ガイドライン[3]を対象にして具体的にゴールを分析してみよう。このようなやり方は文章記述からゴールを逆に導いているので、いわばゴールのリバースエンジニアリングともいえよう。
電子タグプライバシー保護ガイドライン
表1に電子タグプライバシー保護ガイドラインの概要を示す。以下ではこのガイドラインを簡単のためRPPGと呼ぶことにする。RFID Privacy Protection Guidelineの略だ。このRPPGは10項目の規約から構成されていることが分かる。以下では、RPPGの規約ごとにどのようにしてゴール図が書けるのか考えていこう。
ゴール図
RPPGに対するゴール図を記述する前に、ゴール図の復習をしておこう。図1に示すように、ゴール図では、目的を手段に展開することができる。たとえば「ある目的を達成するために、この手段を遂行する」という文があったとすると、図1のようにこの文の目的に関する記述を親ゴールとして記述し、手段に相当する記述をサブゴールとして記述することができる。このように、文章の中で「するために」という言葉がでてきたら、その文章が、ある目的とその手段の関係を記述していることに注意するべきである。

図1 ゴール図の基本形
また、ある目的を達成することが求められているとき、「その目的をどのようにして遂行すればいいのか?」と質問することで、目的から手段を見つけることができる。逆に、手段が分かっているときには、「何のためにその手段を遂行しようとしているのか?」と質問することで、手段に対する目的を見つけることができる。
英語で言えば、前者がHow質問、後者がWhy質問ということになる。
ゴール図の展開方法
ゴールを詳細化するときには、前述したように目的と手段という関係を用いる。あるゴールを複数の手段に展開する場合には、次の3つがある。
場合分けによる展開
たとえば、あるゴールを複数の観点から捉えることができるとき、観点ごとに異なる手段を用いる必要がある。このときは、観点に対する手段ごとにサブゴールを作成する。このとき、場合分けの条件が互いに重複したり、矛盾しないように気をつける必要がある。
工程による展開
たとえば、あるゴールが複数の工程からなる手段の組み合わせで実現できるとき、このような工程ごとの手段をサブゴールとして記述する。この場合、時系列的な順序を考慮してサブゴールを配置すると理解しやすい。
構成による展開
たとえば、あるゴールの実現手段が複数の要素から構成されるときには、構成要素ごとの実現手段をサブゴールとして記述するといい。
- 60:要求とアーキテクチャ
- 61:要求と保守・運用
- 62:オープンソースソフトウェアと要求
- 63:要求工学のオープンな演習の試み
- 64:Web2.0と要求管理
- 65:ソフト製品開発の要求コミュニケーション
- 66:フィードバック型V字モデル
- 67:日本の要求定義の現状と要求工学への期待
- 68:活動理論と要求
- 69:ビジネスゴールと要求
- 緊急:今、なぜ第三者検証が必要か
- 71:BABOK2.0の知識構成
- 72:比較要求モデル論
- 73:第18回要求工学国際会議
- 74:クラウド時代の要求
- 75:運用要求定義
- 76:非機能要求とアーキテクチャ
- 77:バランス・スコアカードの本質
- 78:ゴール指向で考える競争戦略ストーリー
- 79:要求変化
- 80:物語指向要求記述
- 81:要求テンプレート
- 82:移行要求
- 83:要求抽出コミュニケーション
- 84:要求の構造化
- 85:アーキテクチャ設計のための要求定義
- 86:BABOKとREBOK
- 87:要求文の曖昧さの摘出法
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