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ICTソリューション総合誌 月刊ビジネスコミュニケーション

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第116回 ゴール指向要求モデルの保証手法国立大学法人 名古屋大学 情報連携統括本部 情報戦略室 教授 山本修一郎

国立大学法人 名古屋大学 情報連携統括本部 情報戦略室 教授
(前NTTデータ フェロー システム科学研究所長)山本 修一郎

前回、オープングループのアーキテクチャ記述言語であるArchimate[1](アーキメイト)のゴール指向要求モデルを紹介した。本稿では、ディペンダビリティケースを用いて、ゴール指向要求モデルの妥当性を保証する手法について考察する。また、メタモデルに対する保証ケースを作成することにより、モデルに対する保証ケースの参照パターンを定義することができることを紹介する。

動機拡張の構成要素

Archimateの動機拡張の概念要素にはステークホルダと動機概念要素がある。動機概念要素には、ドライバ、アセスメント、ゴール、要求、制約、プリンシプルがある。制約は要求の下位概念である。

Archimateの動機拡張のメタモデルを図1に示す。

図1 Archimateの動機拡張のメタモデル

図1 Archimateの動機拡張のメタモデル(クリックで拡大)

動機拡張モデルの保証方法

図1に示したArchimateの動機拡張のメタモデルに基づいて、構成要素と構成要素関係ごとに、動機拡張モデルの妥当性を保証することができる。

動機モデルに対する最上位の保証ケースを図2に示す。この保証ケースでは、「動機モデルは妥当」であるという最上位の主張を2つの下位の主張「動機モデルの構成要素は妥当」と「動機モデルの構成要素間の関係は妥当」であるに分解している。

図2 動機拡張モデルの保証ケース(全体)

図2 動機拡張モデルの保証ケース(全体)(クリックで拡大)

なお、本稿では、主張を記述する際に、表現を簡潔にするため「~妥当である」を「~妥当」としている。

動機モデルのメタモデルから、動機モデルの構成要素には、ステークホルダ、ドライバ、ゴール、プリンシプル、要求、制約があるため、主張「動機モデルの構成要素は妥当」を図3に示すように分解できる。

図3 動機拡張モデルの保証ケース(構成要素)

図3 動機拡張モデルの保証ケース(構成要素)(クリックで拡大)

また、動機モデルのメタモデルから、動機モデルの構成要素間の関係には、関連関係(association)、影響関係(influence)、実現関係(realization)があるため、主張「動機モデルの構成要素間の関係は妥当」を図4に示すように分解できる。

図4 動機拡張モデルの保証ケース(構成要素関係)

図4 動機拡張モデルの保証ケース(構成要素関係)(クリックで拡大)

ここで、関連関係の妥当性についての主張G_10については、図1のメタモデルから、ステークホルダと動機拡張要素の関係、ドライバとアセスメントの関係、ドライバとゴールの関係、アセスメントとゴールの関係があることから、これらに対する主張G_13、G_14、G_15、G_16に分解している。

また、影響関係の主張G_11については、メタモデル上では具体的な構成要素間の関係が明記されていないので、戦略S_5「影響関係について説明」だけを記述している。

さらに、実現関係の主張G_12については、ゴールとプリンシプルの関係、ゴールと要求の関係、プリンシプルと要求の関係があることから、これらに対する主張G_17、G_18、G_19に分解している。

以下では、動機拡張モデルの具体例に対する保証ケースの例を説明する。

動機拡張概念の記述例

以下では、図1に示したオンライン顧客応対システムに対する動機拡張モデルに対する保証ケースについて考える。



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