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ICTソリューション総合誌 月刊ビジネスコミュニケーション

ビジネスコミュニケーション
第75回 運用要求定義国立大学法人 名古屋大学 情報連携統括本部 情報戦略室 教授 山本修一郎

国立大学法人 名古屋大学 情報連携統括本部 情報戦略室 教授
(前NTTデータ フェロー システム科学研究所長)山本 修一郎

今回は、本連載第72回で紹介したインターアクターモデル(Inter-Actor Model, IAM)を用いた運用要求の定義方法をITIL(IT Infrastructure Library)v3のインシデント管理を例題にして具体的に紹介するとともに、適用事例による有効性の評価結果についても述べる。

運用要求モデル

インターアクターモデルを用いることにより、図1に示すように、①運用主体、②事前状況、③運用対象(となるシステム)、④事後状況、⑤契機(イベント)、⑥応答(レスポンス)、⑦運用手順、⑧入力、⑨出力、⑩運用規則、⑪運用関係者、⑫運用関係者の役割分担に基づいて運用知識を記述できる[1]。このようにインターアクターモデルでは、運用主体と運用対象を運用手順と対応付けて管理できる。また運用手順の内容を、運用契機、応答、入出力、運用規則、運用関係者とその役割分担まで含めて記述できるようにしたことで、従来は曖昧になりがちだった運用規則や役割分担を明確化できる。なお図では、事前状況と事後状況を運用対象に対してしか明示していないが、運用主体と運用関係者についても事前状況と事後状況がある。

運用要求定義

以下ではIAMの記述項目を運用活動の視点から説明する。

(1)運用主体

運用手順を実施するアクターが運用主体である。運用主体は運用対象システムに対して運用活動を実施した結果について、その内容を記録するとともに、必要に応じて、顧客や他の運用主体、会議体に対して報告する。顧客や会議体は運用手順を実施しないが、運用契機や運用上の判断を下す外部的な運用関係者である。

(2)事前状況

運用手順が開始される前に成立していなくてはならない条件を、事前状況として記述する。たとえば、運用手順の中で使用される運用記録簿などがそろっていることなどは、事前状況として明記する必要がある。運用主体としての、担当者に求められるスキルも事前状況である。免許証がないと自動車を運転できないように、専門資格が必要になる運用手順もある。システムの起動手順の事前状況は、システムが停止していることと、起動するための環境が用意されていることである。もし運用対象システムが起動済みであれば、あらためてシステムの起動手順を実施する必要はない。

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第59回以前は要求工学目次をご覧下さい。


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