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ICTソリューション総合誌 月刊ビジネスコミュニケーション

ビジネスコミュニケーション
第63回 要求工学のオープンな演習の試み 国立大学法人 名古屋大学 情報連携統括本部 情報戦略室 教授 山本修一郎

国立大学法人 名古屋大学 情報連携統括本部 情報戦略室 教授
(前NTTデータ フェロー システム科学研究所長)山本 修一郎

IT産業界だけでなく大学においても、学生のITスキルを向上する上で、要求工学の教育が期待されている。しかし、従来の要求工学の教育では、要求モデルや要求仕様をどのように記述するかという、UMLなどの文法教育にとどまっているのではないかと思われる。このような要求工学教育の目的は、正確に文法誤りのない要求モデルや要求仕様の各技術を習得させることだった。そのためには、要求モデルや要求仕様を書くための題材が可能な限り正確に記述されていなければならないという条件が必要になる。つまり、要求モデリングや要求仕様を学生が作成するときに正解が一つに定められる必要があったことになる。このような演習は閉じていることになる。この理由は学生が作成する回答が演習課題に対して一意に定義できるからである。しかしながら、現実のソフトウェア開発ではこのように課題としても問題記述が正確に提示されることなどない。したがって、学生が現実社会に入って、従来のような閉じた要求工学教育を受けていたとしても、現実との乖離に驚くだけで対処のすべがない。なぜなら、課題を正確に各訓練が与えられていないから、正確な課題記述の下で、正確な要求モデルを記述する技術が役に立たないからである。従来の要求工学教育の持つこの問題に対処するために、我々は開放型要求工学の演習を実践している。開放型要求工学演習では単純なひとつの要求文だけを学生に対して提示する。学生による回答は多様になる。この多様な回答を比較して学生に提示することで、学生は同じ要求分についての多様な解釈、要求モデルと要求仕様の豊富な可能性を学習することができる。

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第59回以前は要求工学目次をご覧下さい。


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